2009.10.13

本の現場-本はどう生まれ、だれに読まれているか

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか
永江 朗
ポット出版
売り上げランキング: 24320

まずは槐より始めよ、ということで、
この本には希望小売価格がある。
つまり再販制度外なのである。

以下目次(アマゾンから)

◎本はどう生まれているか
01●新刊洪水
02●本を出したい
03●ネット発の本
04●ライターの事情
05●編プロのいま
06●情報の無料化
◎本はどう読まれているか
07●アサドクとドクソン
08●「読書ばなれ」の根拠
09●新書ブーム
10●書店をディレクションする
11●本屋大賞と読ませ大賞
12●ベストセラーは誰が読んでいるのか?
◎付録・インタビュー
本棚が町へ出て行く─幅允孝(聞き手●永江朗)
再販制度はもういらない─永江朗(聞き手●沢辺均)
あとがき
プロフィール

以下読書メモ。
●委託・再販制度の下、本は貨幣として流通している

●出版の形態 1.企画出版 2.共同(協力)出版 3.自費出版

●文学のカラオケ化(斎藤美奈子『読者は踊る』)。小説を読まずに小説を書きたがる、あるいは小説を読んだからこそ「こんなものでいいんだ」と思って書きたがる、そういう風潮をからかった言葉。

●自費出版とブックオフは再販制度・委託制が生んだ徒花である。

●出版社は読書離れを前提にして、「売れないからたくさん作る」という行為を繰り返してきた。(略)「売れないからたくさん作る」が出版点数の増大と書籍の短命化と書籍の偏在を招き、ミクロでの「本が売れない」状況=書籍1点あたりの販売部数減少を招いたのではないか。だとすると処方箋は「売れないからたくさん作る」という状態をやめるしかない。

●知識のトッピング感覚。新書は知識産業のファストフードか。

●「知的好奇心のタコツボ化」。特定のものだけに関心を向け、他には無関心になる。しかもそれは無気力的な無関心というよりも、関心を向けたりそこに時間やお金を費やすことを「損」と捉える感情である。目の前の利益に直結しないことをすべてリスクと捉える時代の気分を反映している。

出版業界は、本質的にはコンテンツ産業であるにもかかわらず、
ある意味インフラ、装置産業的な要素を重視し、
それに寄りかかってきた部分が多い。

しかし、もうそれは寄りかかるには、
あまりに古く硬直したものになってきた。

もう遅いかもしれない、
でもまだ間に合うかもしれない。

救いは、本を読む人は、
決して減ってはいないということ。
ただ従来のインフラでは売れていないだけ。

さぁ、現場に出でよ!
さらば救われん(笑)。

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2009.10.10

死ぬ時に後悔すること25

著者の若さに驚き!
だって、なんか、
日野原先生あたりが書きそうな本なもんでね(^^;。

以下目次(アマゾンより)

第1章 健康・医療編―死ぬときに後悔すること1
第2章 心理編―死ぬときに後悔すること2
第3章 社会・生活編―死ぬときに後悔すること3
第4章 人間編―死ぬときに後悔すること4
第5章 宗教・哲学編―死ぬときに後悔すること5
第6章 最終編―死ぬときに後悔すること6

まずは、人は死を目前にして、
どんなことを思うのかというのを、
いくつかに分類して、
そのカテゴリーごとに、いろんなエピソードを、
書き連ねていく、そんなスタイル。

以下読書メモ。

●健康の格差社会

●健康なうちから健康を大切にする。きちんとした人間ドックを毎年一回受けること。

●星野富弘氏『鈴の鳴る道』に、車椅子に乗って生活をすると、道がでこぼこだらけなことに気づくという話がある。段差に滅入ってしまうのが、車椅子に鈴を付けてでこぼこを通るたびに「チリーン」と鳴るようにしたところ、心持が変わった、そういう話。”心にしみるような澄んだ音色だった。(略)その日から、道のでこぼこを通るのが楽しみになったのである。(略)人もみな、この鈴のようなものを、心の中に授かっているのではないだろうか”

●死期が迫ると人は過去を振り返る傾向がある。これはライフレビューという、過去を他者に語るという行為となって現れることがあり、精神的苦痛を緩和するのにも役立つので、よい働きといえる。

●死は人が思うより近くにある。会いたいと思うときに会いたいと思う人に会っておくことだ。

●読んでると著者の年齢(34歳)がちょっと信じられない気がしてくる。特に若者に物言う部分。あんたも十分若者だぜ?とおっちゃんは思うのだ。恋愛の件なんか特にそう。本当に記憶に残る恋愛をしてください、なんて若者にいいたいとか言ってるし(^^ゞ。そう、達観してるというか何というか悟ってる気がする。おい、その年でと。終末期医療に携わるお医者さんという立場ゆえもあるんだろう。ただそれにしてもだ。多分著者の性格的なことも多分にある気がするなぁ。内省的というか、まぁ、言えば真面目で根暗。でもまぁそれぐらいの人のほうが、なんだか最後は安心して任せられるというか。寄り添ってくれそうな気がする。

●スピリチュアルペイン、すなわち生きている意味を見出しえず、魂の痛みを感じる状態に陥るのは、死を越えた将来の確信(時間存在)と信頼できる家族・友・医療者等の存在(関係存在)、および自己決定できる自由(自律存在)の三つのうち、一つ以上の要素が揺らぐためであるという理論である。そしてまた、このうちの一つの要素が失われてしまっても、他の要素でそれを補うことで、スピリチュアルペインを和らげることが出来るといわれている。

死ぬまで人は生きてるんだなぁ、
と改めて当たり前のことをおもった。

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2009.10.06

命の値段が高すぎる!-医療の貧困

命の値段が高すぎる!―医療の貧困 (ちくま新書)
永田 宏
筑摩書房
売り上げランキング: 9314

まずタイトルにビックリ。
普通、今の世の中、
命の値段が安すぎるって感覚だよね。
それが、真逆。
でもその逆説こそが、
今の日本の年金医療問題を表している。

まずは目次(手入力)から。

第1章 「医療の終わり」の始まり―二〇〇八年四月一日
第2章 小泉医療改革が目指したもの
第3章 医療費負担の世代間対立―後期高齢者医療制度
第4章 メタボリック狂想曲
第5章 「善意の医療」が消える!?―レセプト並み領収書がもたらすもの
第6章 健康監視社会の到来―レセプトのオンライン化の意味
第7章 保険は国や会社に頼るな!―社会保障カードと個人勘定
第8章 日本の医療に「希望」はあるのか―国民の選択

以下読書メモ。

●小泉医療改革とは何なのか?
 この本のテーマ。
 で、作者はいう。
 「高齢者医療の財源問題の解決」こそがその中身だと。

●後期高齢者医療制度、メタボ健診、レセプト並み領収書
 この3つが柱。

●2008年が日本の医療制度のターニングポイント

●後期がありゃ、前期もあるわなぁ、と。
 ほとんど知らんかった。。。

●後期は利権、焼け太り

●健保の前期負担は、保険料の世代間格差の解消狙い

●派遣切りの次は保険切りか?

●後期、そのお粗末な制度設計

●「特定」に意味なし。
 厚生労働省は伝統的に特定が好きで、何にでも付けたがる。

●メタボ健診
 現役世代のメタボが増えれば増えるほど、
 後期への支援金が増える仕組み。
 だから厳しすぎる基準値。
 ペナルティ→後期という構図。
 いうなれば連帯責任。

●医療情報は、データの鮮度が悪すぎ。
 レセプトオンライン化で激変するやろな。

●高齢者医療費を誰がどう負担するのか?
 1.公費中心
 2.公的医療保険の形態維持
 3.自由診療・混合診療の拡大

●社会保障の個人勘定
 まるで、蟻とキリギリスの話。

●大事なのは、高齢者医療制度ではなく、高齢者就業制度である。
 それを現実化するための技術革新と、社会制度の整備である。

そして民主党政権下で、後期高齢者医療制度は、
廃止するとマニフェストに書いてあるが、
昨今それもどうやら怪しそうな雲行き。。。
とりあえずは延命が図られそうな雰囲気。
その意味するところは、ここに書いてある通り。
高齢者医療費をどこから捻出するかの
絵図がないからだ。

年寄りを取るか若者を取るか、
どちらにもいい顔は出来ないよね。

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2009.10.02

弩
posted with amazlet at 09.10.02
下川 博
小学館
売り上げランキング: 28096

黒沢監督の「七人の侍」を思い出す。
なんとなく、雰囲気ね。

話は、二部構成。
一部は、貧しい山村が発展していくまでの
主人公吾輔たちの様子が描かれる。

で、この小説の肝は二部。
発展ゆえに無法な支配階級に狙われる。
そこへ現れる軍師。そう、乗り的には七人の侍。

敵はプロの殺戮集団。
まともにやりあっては勝ち目はない。
様々な仕掛けや罠、戦略、戦術の限りが練られる。
そして、ただ一度だけの戦いが始まる。
その象徴として使われるのが「弩」。
つまりはボーガンだ。
いわば弱者の武器か。

吾輔の女房小萩がいい。
紅顔碧眼の大女、
ハーフでバタ臭い感じの肉感的な好い女である。
その性格も開放的で、そして賢い。

間違いなく今年読んだ小説の中では、
3本に入る。おすすめ。

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2009.09.28

君と一緒に生きよう

君と一緒に生きよう
君と一緒に生きよう
posted with amazlet at 09.09.28
森 絵都
毎日新聞社
売り上げランキング: 14543

犬好きの人はもちろんん、
これから犬を飼おうと思っている人も、
読むといいよ。

以下目次(アマゾンから)

スウ
梅花姉妹
女王くるみ
北アルプスの麓で
犬猫里親会
ミスティとモモ
マレアと七頭の子犬たち
猟犬ひめ
オレオ
ブリーダー崩壊
二頭目のハク
土手に生きる犬たち
シェルターリポート
救われない命たち

どの章も涙なくして読めない。
特にマレナとマナの親娘犬の話は、
ツレの犬たちとダブって特に。
親犬が時に子犬より無邪気で幼く見えるところなんてまさにね。

ほんと犬って、
人生変えるぐらいの存在だと、
つくづく思った。

言い古された言葉だけど、
飼うなら捨てるな
捨てるなら飼うな
と。

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2009.09.23

トルコのもう一つの顔

トルコのもう一つの顔 (中公新書)
小島 剛一
中央公論社
売り上げランキング: 9298

昔大学生だった頃、
トルコ語の授業をとったことがある。
うちの大学は、文学部だからなのかどうかわからんけど、
英語を除いて第3外国語まで取らないとダメだった。
わたしの場合、第1は中国語、
第2がロシア語で、第3がトルコ語だったというわけ。

で、全く覚えてないんだな、これが(^^;
どんな授業をしたのかも、
どんな教科書を使ったのかも、
テストがあったことすら覚えてない(^^;
でも単位は取れたんだろうなぁ、
一応卒業できたから。

とまぁ、そんな話はおいといて。
この著者、まさに言語の天才といっていいかも。
トルコをくまなく旅行しているうちに、
そこの土地の人々の話す、
方言というか言語(著者に言わせると
トルコの地方の言葉はトルコ語の方言というより
独立した言語らしい)を、
瞬く間に修得し(一冊の本の中ではそう思える)、
そこの人たちと熱く交流するのだ。

以下目次(アマゾンから引用)

1 トルコ人ほど親切な人たちも珍しい
2 トルコのもう一つの顔
3 言語と民族の「るつぼ」
5 デルスィム地方
5 Y氏との旅
6 「トルコに移住しませんか」
7 トルコ政府の「許可」を得て

トルコが、こんなにモザイクのように少数民族(無論政府は認めていない)が
重なり合っている国とは知らなかった。
ま、地政学的にいえば、アジアとヨーロッパを結ぶ
文明の交差点のような位置づけなんだから、
ある意味、当たりまえっちゃ当たり前かな。

著者の研究や行動そのものが、
トルコ政府にとっては、暴かれたくない過去というか、
触れられたくないことばかりなもんで、
当然トルコ国内を旅して回る著者には、
いろんな邪魔や妨害がある。
中でも、デルスィム地方を訪れた時の
ことは最も心に残る。

官憲に拉致監禁(といってもいいと)されたのだ。
食事も与えられず空腹の中、
聞こえてきたのは、その土地の古くからの歌。
たまたま知っていた著者は、
一緒に歌う。するとその歌が終わった後、
饅頭が空から降ってくる。
自分たちの言葉を話す外国人の
ピンチを助けてくれたのだ。

その歌に触れたときの著者の想いが美しい。

 ”だが美声の持ち主はデルスィム語で歌い続ける。
 その声は決して涙声ではないのだが、
 心の中の涙が透けて見えるような悲痛な歌い方だった。
 (略)見てはならぬものを見てしまったような居心地の悪さと、
 かけがえのないものに触れ得た歓びを同時に感ずる”

読み終わると、トルコに行きたくなる、
そんな思いを抱かせる素晴らしい紀行文だった。

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2009.09.16

きりこについて

きりこについて
きりこについて
posted with amazlet at 09.09.16
西 加奈子
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 11553

猫が書いた話という設定。
猫好きは読むといいよ。

で、猫について印象に残った箇所ね。

●猫にもIQがある。
 (中略)一番下の猫は、IQがない。
 (中略)IQの上限は、今わかってるだけでも、800ほどになる。
 人間に比べたら、天文学的な聡明さなのである”

●猫は高潔な肉食獣である

●猫は嫉妬されるのが好きなのである

●猫は生まれ変わる。それも必ず、また猫として生まれてくる。

●自分は死ぬまで生きるだけの存在である、ということ。

●猫は、人間にとっていつまでも、神秘の動物であらねばならない。

そして、最後に。

「世界は、肉球よりも、まるい」

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2009.09.02

裁判長!おもいっきり悩んでもいいすか―裁判員制度想定問題集

裁判長!おもいっきり悩んでもいいすか―裁判員制度想定問題集
北尾 トロ 村木 一郎
文藝春秋
売り上げランキング: 180540

まさに裁判員制度を、体験せずに語らせるなら、
この人しかいませんよね!

まずは目次(アマゾンから引用)

  こんな事件でも裁判員制度の対象に?―事後強盗
  危険すぎる性癖―連続強姦致傷
  そして彼らは、火をつけた!―放火
  殺しの代償―殺人
  悩ましき懲役1年半~20年の幅―傷害致死
  悲惨な交通事故をクールに裁けるか―危険運転致死傷
  腐った愛―虐待
  「死刑」と「無期懲役」の間で―死刑求刑事件
  そのとき「無罪」と言えるのか―否認事件

いろんな種類の犯罪のケースについて、
クイズ形式で、いろいろと考えるというスタイルです。
あなたがもし裁判員だったらどうしますか?
見たいな問いかけも随所にあります。

最初は「面白いなぁ」と、少々お気楽に、
読みすすめますが、
そのうち、だんだんと重くなってきます。
そして最後は疲れ果てます。

以下メモ。

●男の同性愛者に男が犯されたときは、強制わいせつ罪。

●被害者が女性でもアナルセックスで犯されたら、強姦罪が成立しない!
 //う~ん。

●”「殺意」、この問題を突き詰めてゆきますと、
 人の心の内側がどうなっていたのかを
 外部から判断できるのかという
 根本的な問題に行き着いてしまいます。”
 //人の心のうちは基本わかりません。

●傷害とは?学説は2つに分かれる。
 1.生理機能障害説
 2.完全性棄損説
  「傷害」は何も暴力によって生じる必要はない。
 「騒音オバサン」は傷害罪。

●少年事件。
 ”根本的には、未成熟な状態にある人間が
 ルールを逸脱した場合に、
 教育という方向に行くのか、
 制裁という方向に行くのかという問題のような気がします。”
  //やっぱり難しい問題です。。。

●道徳と法は別。
 //社会的制裁をどう見るかってのも難問ですね。

●”殺人罪が「殺意の有無」を問われるのに対し、
 傷害罪で裁判員にとって決め手になるのは
 「悪意の有無」ではないか”
 //いわゆる「悪気はなかった」を
  どう見るかということですかね。

●最上限の量刑判断は、
 将来のことも見越しておかないといけない。
 //これはその場限りの裁判員には難しそうですねぇ。

●”ぼくがもっとも恐れるのは、
 死刑について何の考察も意見もないまま裁判員になって、
 評議の場で頭が真っ白になり、
 雰囲気に流されて量刑を決めてしまうことだ”
 //そうなりそうです、自分がもしなると。

●”裁判員制度は、日本という国の行く末とか
 司法改革にも関わることなのだろうけれど、
 ぼくはそれ以上に個人的なものとしてとらえてしまう”
 //同感。

●現在、法律上あるいは事実上の死刑廃止国は135.
 国連加盟国192からすると、多数派。
 世界の流れは死刑廃止に向かっている。

●日本の死刑執行方法は「地下絞下式」。
 首に輪になった縄を掛け(もう一端は天井に固定)、
 本人が立っている床板をいきなり開放して落下させる方式。

●死刑選択の基準(永山基準)。
 ・犯行の罪質
 ・犯行の動機
 ・犯行の態様、ことに殺害方法の執拗性、残虐性
 ・結果の重大性、ことに被害者の数
 ・遺族の被害感情
 ・社会的影響
 ・犯人の年齢、前科
 ・犯行後の情状

●”たぶん、裁判員が期待されているのは、
 わからないものはわからないと言うことなのではないだろうか。
 (中略)「わからない→有罪の十分な証拠がない→だから無罪」。
 いわゆる「推定無罪」”
 //裁判員制度のメインの目的は冤罪を防ぐ事かも。

●”無罪に自信を持つ必要はありません。
 有罪に自信が持てるのかだけを考える必要があります。
 有罪に自信がなければ無罪なのです”

まぁ、とにかく疲れました。
本でこれだけ疲れるんだから、
実際はもっと大変なんだなと。

裁判員の人の会見で必ず出る
「本当に疲れました」は
決して大げさでもなんでもないんだなと
改めて思い知りました。

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2009.08.30

がんと闘った科学者の記録

がんと闘った科学者の記録
戸塚 洋二
文藝春秋
売り上げランキング: 1888

小柴教授の後、
最もノーベル賞に近い科学者といわれた
戸塚洋二さんのがん闘病記。

以下目次です(アマゾンから引用)

  序文(立花隆)
  The First Three‐Months―2007年8月4日~2007年10月31日
  The Second Three‐Months―2007年11月3日~2008年2月8日
  The Third Three‐Months―2008年2月9日~2008年4月29日
  The Fourth Three‐Months―2008年5月3日~2008年7月2日
  対談「がん宣告『余命十九ヵ月の記録』」(戸塚洋二×立花隆)

自分の病状に照らして、
3ヶ月毎に区切っての記録です。

さすがは科学者だけあって、
病状の把握、抗がん剤の効き目などを、
腫瘍マーカーや腫瘍の大きさなどの
具体的なデータをあげて、
分析していきます。

そこから、この国のがん治療のためには、
以下のことに早急に取り組んで欲しいと提案します。

  ●患者さんにデータ提供をお願いすること
  ●それをデータベースに構築すること
  ●専用の優れた検索エンジンの開発

これにより、著者の言う、

  我々にとって本当に必要なのは、
  しっかりと整理され検索が体系的に出来る「患者さんの体験」

が実現できます。

冷静に自分の病気と向き合い、
最後まで毅然とされていたように感じますが、
内実はやはり「死」への恐怖が、
頭から離れないこともあったようです。
でも、恥ずかしい死に方をしたくない
ということを出発点として、

  ●「恐れ」を避ける
  ●死は遅かれ早かれ誰にでも来るもの
  ●自分のがんは自分のせい。自分以外をうらまない

との境地に達せられたようです。

あと、興味深かったのが、
仏教と科学の件でしょうか。
これには、ある本とその著者との出会いが
大きかったようです。
その本というのが、
佐々木閑『日々是修行』と『犀の角たち』です。

日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)
佐々木閑
筑摩書房
売り上げランキング: 5714

著者の佐々木氏は、元々理系の学問をされた方で、
その経験を経た上で仏門に入られた方のようです。
そういう経歴が、戸塚さんの波長とあったのでしょうか、
古代仏教の絶対神を想定しない因果律を中心とした
世界観に引き込まれたようです。

他にも、恩師・小柴先生の存在が大きかったこと。
特に学問の世界では、恩師と呼べる存在が大切なことを
力説されています。

最も心に残ったのが、
  
  がん患者にとって一番の希望は何だと思いますか?
  個人個人ばらつきはあるかと思いますが、
  私にとって一番の希望は、がんが完治する必要はない、
  今の状態でいいから少しでも長生きがしたい、です。
  しかし、耐えられない苦しみはご勘弁。
  生命個体の本能でしょうか、とにかくもう少し生きたい、
  というのが大方のがん患者の最も切実な希望だと思います。
  だから、私にとって5年生存率というのは参考にはなりますが、
  我が人生にとってほとんど意味のない数値なのです。

という一節。著者の偽らざる本音でしょうね。

そして、最後は、
残された家族から著者のブログに投稿された、
感謝の記事で終っています。
そして、その中の一節。

  「がんと正面から向き合い
  最後まで闘い抜いたということは言って良いと思います」

見事な幕引きですね。

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2009.08.28

るり姉

るり姉
るり姉
posted with amazlet at 09.08.28
椰月 美智子
双葉社
売り上げランキング: 258742

最後の5章、これはずるいなぁ、そしてうまいなぁ。
思わず泣いちゃいました(^^;

渋沢家は、看護師のお母さんと3人娘。
そしてみんなが大好きな、「るり姉」。
そんな「るり姉」を中心としたそれぞれのお話。
全部で5つの話からなっています。

一番好きなのは、第4章。
ここでは、「るり姉」の旦那さん、
カイ君のパート。

このカイ君、ちょっとファッションセンスには、
ヤンキー入ってるんだけど、気のいい青年。
そしてるり姉に首ったけ。
そんな様子が次の一節にもよくあらわれてます。

  幸せだよなぁ、と秋の雨を見ながらしみじみと思い、自分を制した。
  --幸せじゃなくていいです。どうか、普通でいられますように。
  さっきの神様に祈った。


4章に、一番幸せオーラたっぷりの話を持ってきます。
5章は、1章から4年後の話。
中心は末っ子のみやこです。
もう高校生です。
とうことで、それぞれに成長した3姉妹を、
ちょろっと出した後、
みんなでまたおばあちゃん家へ行くことになります。

あぁ、なんて残酷な、と思ったのもつかの間。
大きな喜びが驚きとともに待ち受けています!

死の影は立ち去り、
新たな命の輝きを強めながら、
やっぱり、るり姉はるり姉だったのです!

いや~、やられましたね。

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2009.08.24

謎の1セント硬貨

謎の1セント硬貨 真実は細部に宿るinUSA
向井 万起男
講談社
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この二人は似たもの夫婦ですね。
どちらも好奇心の塊。

特に印象に残ったのは、
キルロイ伝説とハンク・アーロンの話。

特にキルロイ伝説
最後には自分自身で伝説を作ってしまって、
アメリカにあるそれ専門の
ホームページにも載ってしまうほど。

とても参考になったのが
作者のアメリカ人に送るメールの文章(日本語)。

・自分は日本人であること

・興味を持ってる点を強調する

・率直に疑問に思ってることを質問する

アメリカ人に何か聞きたいときには、
これをベースにすれば、
かなり返事をもらいやすい感じがします。

それと。
アメリカ人って結構親切ですね。
「来るもの拒まず」というのが、
徹底してる気がします。
このあたりは、さすがは、移民の国、
建国の歴史を通して一貫してますね。

アメリカの道路事情なんかもわかったりして、
紀行文としても、軽妙で面白いです。
おすすめです。

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2009.08.22

仕事するのにオフィスはいらない -ノマドワーキングのすすめ

仕事するのにオフィスはいらない (光文社新書)
佐々木俊尚
光文社
売り上げランキング: 233

昨日今日と、二日間帰省してた。
その間、いつも持ち歩いてるiPhoneを、
出発前のドサクサで忘れてしまい、
この二日間というもの、
ネットに全く繋がらない時間を過ごしちまった。
おまけに、携帯も全く鳴らないし、メールも来ない。
たまにはええもんやけどね(^^;。

でもiPhone忘れても本は忘れへん!
ってことで、荷物に入れた本のうちの一冊が、これ。

ひとことで言うと、
ネットにつながりゃどこでも仕事できまっせ、
ほれ実践のノウハウも教えまっせ、
いやーええ時代になったわって本。

目次

はじめに
第1章 ノマドワーキングのすすめ
第2章 アテンションコントロール
第3章 情報コントロール
第4章 コラボレーション
第5章 クラウドを使いこなす
第6章 ノマドライフスタイルの時代へ
あとがき

第1章で、ノマドワーキングを紹介し、
2章から4章で、それに必要なポイントををそれぞれ説明
5章では、そのベースとなる「クラウド」と、
それに対する自分のノウハウを公開、
最後6章で、仕事だけにとどまらず、
生き方そのものへも広がっていくんじゃねーの
ってまとめる、という構造。

最初読む前は、
わたしのような内勤管理職サラリーマン(作者とは1歳違い)には、
無縁の働き方だよなーと正直思ってた。

実際、働き方という面では、
今の自分の立場では無理やね、やっぱり。
会社にいること自体が
仕事
みたいなところありますもん。

ただね、食事したり、トイレ行ったり、
電車待ったり、といろんな形で、
細切れになる時間を、
それなりにうまく使うってことでは、
そこで実践されてることや
その目的で使ってる道具や仕組みなんかは、
結構共通してたりする。
いやー、ちょっと嬉しかったり(^^;。

で、なんかそういう時間のコントロールって、
なんだかディスクのデフラグっぽいイメージがあったりする。
あの色とりどりの細かな線が入ったバーが、
デフラグすることで、ある程度の固まりになって、
快適に使えるようになるってあれ。
いわば「時間のデフラグ」、そんな感じかな。

自分以外にも何人か事例を取り上げてるけど、
みんなそれなりにうまく回ってる例ばっかり。
ちょっと欲いえば、
反面教師ってことで失敗事例も欲しいところ。
って、失敗事例さんから掲載許可出ねーかw。

結局、時間の奴隷になるか、
時間の主人になるか、
自分でそれを選択できる、
そんな時代がすぐそこまで来てる、
そんな感じがした。

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2009.08.18

向日葵の咲かない夏

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
道尾 秀介
新潮社
売り上げランキング: 1331

せっかくの素材をこう料理するかぁ…。
ちょっとわたしには無理。

ってことで次に期待。

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2009.08.16

くまちゃん

くまちゃん
くまちゃん
posted with amazlet at 09.08.16
角田 光代
新潮社
売り上げランキング: 4786

作者いわく、「ふられ小説」とのこと。
そのとおり、出てくる主人公は、みなその話の中で、
相手との関係が終っている。
そういうふられ話が全部で、7編。

前の話の相手役が次の話の主人公になる
というパターンでつながっており、
また、一つの話の登場人物が、
別の話の会話に中に出てきたりと、
全体としても楽しめる構造になってる。
で一番最後に、
まとめ的な話(乙女相談室)が配置され、
そこにも前の話の登場人物が
でてきたりしてる。

わたしは、結構、
ある話の登場人物の、
後日譚(あれから数年とかいうやつ)とか好きなので、
こういう話の構造は嫌いじゃない。

個人的には、アイドル→勝負恋愛→
こうもりの流れが好きかな。
芸能人とつき合うことになったゆりえの話と、
その芸能人マキトの話。

あと心に残ったのが、これも主人公の一人の、
有名イラストレーターの回顧の中の一節。


何かをやりたいと願い、それが実現するときというのは、
不思議なくらい他人が気にならない。
意識の中から他人という概念がそっくりそのまま抜け落ちて、
あとはもう、自分しかいない。
自分が何をやりたいかしかない。

それともう一つ。一番最後のまとめの話の中の、
ヒロインが離婚した夫と街で偶然再会した後の件。

なんてことだろう。
人を思う気持ちというものは、
わたしたちのどんな器官より現金で頑丈なのだ

人はいくつになっても、
どんなに痛い思いをしても、
また人を思うといういことを繰り返す、
そういう生き物なんだなぁ。

人を思うということには、終わりというか、
限りはないのかもね。

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2009.08.15

人生初パノラマ

デジカメを2台持ってます。
Sonyのサイバーショットの初期の大きいやつと、
カシオのEXILIM。

で、今。
ほとんどの写真はiPhoneで撮ってます。
やはりカメラ素人には、
カメラ単独で持ち歩くってのは、
結構面倒くさいんですよねぇ。

iPhoneのカメラというのは、
標準では、画素数は200万画素、
パンフォーカス、フラッシュもなし、
と最近のデジカメに比べて、
ないない尽くしなんですけど、
そこは数々のアプリで、補強されてます。

わたしもこのカメラアプリ、
おそらく一つの機能のアプリとしては、
一番数多く持ってます。

ざざっと紹介しますと、
CameraKit、Camera Zoom、
Easy Camera、Night Camera、
ReplayCam 25shot、AutoStitch。

で、今日紹介するのは、AutoStitch
一言で言えば、パノラマ写真合成ソフト。
カメラロールの中から、
つなぎ合わせたい写真を選んで、
「貼り付け」ボタンを押すだけ。
すると、こういう写真を勝手に作ってくれます。
(クリックすると拡大します)

Photo

こつは、2つ。
・同じ場所で撮る
・前の写真と3分の1程度重なる感じで次の写真を撮る。

ね、簡単でしょ。
iPhone持ってるなら、入れてといて損のないソフトです。

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2009.08.14

なぜ世界は不況に陥ったのか

なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学
池尾 和人 池田 信夫
日経BP社
売り上げランキング: 5682

現場を取材してきた池田さんの振りに対して、
池尾さんが理論的に解説するという
フォーマットで書かれたわかりやすい世界同時不況の解説書。

まずは目次(手打ち)

プロローグ
第1講 アメリカ金融危機の深化と拡大 -サブプライム問題から全般的な信用危機へ
 その1 サブプライムローン問題
 その2 全面的な信用危機への拡大
 その3 リーマン・ブラザーズの破綻以降
第2講 世界的不均衡の拡大:危機の来し方① -1987年、1997年、2007年までの節目を振り返る
 その1 長期不況:1970年代末~1987年
 その2 アメリカ経済の再活性化:1987年~1997年
 その3 マクロ的不均衡の拡大:1997年~現在
第3講 金融技術革新の展開:危機の来し方② -デリバティブ、証券化、M&A
 その1 伝統的銀行業の衰退と金融革新
 その2 デリバティブ取引の意義
 その3 投資銀行の成功と変質
第4講 金融危機の発現メカニズム -非対称情報とコーディネーションの失敗
 その1 過剰投資はなぜ起きる:エージェンシー問題と「美人投票」
 その2 取り付けの合理性とリスクテイク
 その3 市場型システミック・リスク
第5講 金融危機と経済政策 -「市場の暴走」と「政府の失敗」
 その1 「政府の失敗」の結果
 その2 経済思潮の変遷
 その3 経済政策をめぐる争点
第6講 危機後の金融と経済の行く末 -中長期的な展望と課題
 その1 投資銀行は終ったのか
 その2 規制監督体制見直しの課題
 その3 長期不況の予感
第7講 日本の経験とその教訓 -われわれは何を知っているのか
 その1 「失われた10年」の原因
 その2 「失われた10年」の教訓
 その3 不良債権問題への政策的対応
エピローグ

もうこれだけでおなかいっぱい(^^;。

読み終わってみると、
なんだか、起こるべくして起こったという感じがしました。
確かに引き金はアメリカのサブプライム問題でしょう。
でもそれが世界へ拡散していき、ここまで長引いている、
それにはそれ相応の理由があって、
結果、いつ起こってもおかしくなかった、そんな風に感じました。

経済は全くの素人で、株もやったことのないわたしには、
いろいろと勉強になりました。
以下ざっとメモ。

・政府の失敗に対して、今までの伝統的金融政策だけでなく、
 非伝統的金融政策(量的緩和・リスク資産の購入)がとられた。

・経済学の主流は市場信頼。古典派。
 反主流は「大きい政府」容認。
 マルクス、ケインズもここ。
 今は統一的フレームワークが流行?

・資本市場は撤退(イグジット)のメカニズムだと考えられる。

・貸し手と借手の距離が短い日本、
 長いアメリカ。
 長いがゆえに、適正価格が見出せなかった。
 これが世界不況の一因。

・次のレベルの産業革命(金融、IT…)に出遅れた日本。
 これが一番痛いでしょ…。

・そもそも伝統的銀行業はもう衰退産業。
 トレンドは金不足から金余りへ。

・デリバティブはリスク移転の手段。

・資本主義とは、自分の利益を追求する人が集まると、
 結果的にプラスになる仕組み。

・マルクス「地獄への道は善意で敷き詰められている」

・投機=リスクテイク

・情報の非対称性とコーディネーションの失敗。

・アメリカの特異性。日本ではなく、アメリカこそが特異。

・FEDビュー(グリーンスパン・ビュー)とBISビュー
 グリーンスパンの影響は、よきにつけあしきにつけ大きかった。

・金融政策は基本的に金利コントロール

・市場経済とか資本主義はプロスポーツに譬えられるべき。
 「勝つ」ことが目的だが、そこにはルールがある。
 ルールのもとでの自由競争。

・日本の病=投資機会不足病。貯蓄を投資に。

・1990年:日本ではバブル崩壊の年、世界では冷戦終結の年

このまま手をこまねいてると、
日本はどんどん縮んでいく、
そんな印象を持ちました。

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2009.08.01

世界がぼくを笑っても

世界がぼくを笑っても
笹生 陽子
講談社
売り上げランキング: 42262

小中学生の男子を書かせたら、
この人はめっちゃうまいです。
で、大体わけあり家庭なんですね。
つーか、わけのない家庭はいまどきないけど(^^;

この話は、頼んない先生でも、
逃げない先生はいい先生って話です。

ちょっとタイトルと表紙が、
ストーリーとどうなのかが、
よくわからんですが。。。

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2009.07.21

働き方革命

働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)
駒崎 弘樹
筑摩書房
売り上げランキング: 762

働くとは、傍を楽にすること。

この一節にグッと来ました。

以下目次(アマゾン+手入力)

 序章 なぜこのような本を書かざるを得なくなったのか
 第1章 自分は働くことで、誰かを壊している?
  (1) 働きマンな自分が好き
  (2) 会社のオーナーは自分だが、会社が自分のオーナーに
  (3) 愛する人の可能性を殺す働き方
 第2章 自分のライフビジョンて、何だろう?
  (1) アメリカ人グル(導師)との出会い
  (2) 目標とするライフビジョンを描く
 第3章 「働き方革命」の起点―仕事のスマート化
  (1) 自分の手持ち時間を見直す
  (2) 仕事時間をダイエットし、生産性を上げる
 第4章 「働き方革命」でたくさんの「働く」を持つ
  (1) パートナーに対する「働く」に時間投資
  (2) 家族や学びに対する「働く」に時間投資
 第5章 「働き方革命」が見せてくれた世界
  (1) 「働く」とは、あるべき人生を形作ること
  (2) 「働き方革命」で職場が変わる
 終章 「働き方」を革命し、日本を変えよう

パートナーになっていく。

 最初からパートナーなんていない。
 関係性は自分で築き上げていくもの。

●働くとは、自分や家族の食い扶持を稼ぐ、
 いわゆる本来の仕事をすることだけじゃない。
 人生全体が「働く」である。

 いくつもの「働く」がある。
 育児や家事もそう。
 近所の町内会もそう。
 子どもの学校のPTAもそう。
 住んでるマンションの寄り合いもそう。
 いくつもの「働く」が折り重なって
 自分の人生全体を織り成していく。
 それが「働き方革命」。
 ほんとは、本来回帰なんだろうな、
 「働く」ということの。

意思だけではできないこともある。
制度や仕組みで補うことも必要。
メンタルだけじゃなくもっとテクニカル、
システマティックにできるところは一杯あるし、
それを進めないといけない。

読むと元気になる気がしますね!

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2009.07.16

カレンダーボーイ

カレンダーボーイ
カレンダーボーイ
posted with amazlet at 09.07.16
小路 幸也
ポプラ社
売り上げランキング: 183776

ノスタルジー。
この人の作品の重要なキーワードだと思います。
そしてもちろん、この作品でも、
それは変わりません。

ストーリーは、
1968年と2006年をいったりきたりする、
タイムスリップのお話です。

タイムスリップするのは、
1968年では小学校の同級生、
2006年では職場の同僚
と言う立場の二人の中年男性(2006年ではね)。

この手の話の古典『リプレイ』とは異なり、
ここでは、とある事件に向かって、
同じだけ日付をずらしつつ、
二つの時代を行き来します。

このとある事件というのが、ミソ。
つまりこの歴史的大事件を持ってくることで、
うまい具合に、リミットを切ったわけ。
これで読んでる人に、
ある程度の終わりを明確に示して、
そこに向けての緊張感を高めていきます。

過去を改変することで、
現在にいろんな変化が起きます。
「歪み」とここでは語られます。
これがまた、いろいろと読ませますねー。
特に主人公の一人に関わる女性の立場の
変化が面白い。
この話の一つの重要なポイントでもあります。

他にも個人的に一番ぐっと来たのが、
おじいちゃんとのエピソード。
そうそう、この作者、
おじいちゃん書かせたらうまいです。

そしてこの手の話の結末で、
満点のハッピーエンドってのは読んだことがありません。
この作品も例外ではありません。
主人公二人にそれぞれ違った「歪み」として、
最後に提示されます。

出会いと別れ。
それこそがノスタルジーの元なんですね。

細かく見ていくと多分辻褄の合わない部分もあるかもしれません。
でも間違いなく、タイムパラドックスの名作です。

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2009.07.14

ドラママチ

ドラママチ (文春文庫)
角田 光代
文藝春秋
売り上げランキング: 4111

面白くないのに一応最後まで読ませるのだから、
さすがは角田光代。

中央線沿線が好きな人はどうぞ。。。

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2009.07.13

一粒の柿の種

一粒の柿の種―サイエンスコミュニケーションの広がり
渡辺 政隆
岩波書店
売り上げランキング: 198559

やっぱり科学って面白いと思うんだけどなぁ。
典型的文系のわたし(数学物理赤点coldsweats01
ですが、そう思います。

以下目次(手入力)

 1. 寅彦がまいた種
 2. 科学の卵
 3. 書の起源
 4. ポピュラーサイエンスの誕生
 5. 自然の覗き窓
 6. 科学で遊ぶ
 7. サイエンスコミュニケーションの潮流
 8. 知識はシャンパンの泡のごとく
 9. ライフコースをデザインする
10. ニセ科学への免疫力
11. 科学者の銅像と偶像
12. 科学への愛の言葉
テッポウエビの指パッチン異聞

さらさらっとメモ。

科学は米の飯のようなもの。

 そうなればしめたものなんですがねぇ。
 この国ではなかなかそこまで根付いていないと。

理系に愛を!

 結構切実だったりします。

科学リテラシー

 万人に必要と説いてます。
 知識としてだけではなく、
 それを基にして考えるという姿勢が大事。

科学で重要なのはタイミング。

 ぴったりのタイミングで、
 ぴったりの場所に居合わせることが
 大切だと。
 付け足すなら、ピッタリの人が
 そばにいれば完璧かと。

科学はユニバーサルランゲージ

 物理法則なんてのは、世界共通ですものね。
 116ページの図は興味深いですよー。
 必見。

最後にマザーテレサの言葉が紹介されてます。
「愛の反対語は憎しみじゃない。
無関心こそが愛の反対語だ」と。

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2009.07.12

天使のナイフ

天使のナイフ (講談社文庫)
薬丸 岳
講談社
売り上げランキング: 5624

何度「もうやめたら?」と、
主人公に向かって言ったか…。
でも、真実を知りたいという想いの強さに、
心打たれました。

テーマは少年犯罪とその被害者家族と、
重くてとてもデリケートなものです。
それがこの作品では重層そして循環します。
因果応報といってしまうと、
あまりに酷い気がしますが。。。

少年法が改正された今も、
本当の贖罪という点では、
何も変わってないでしょうねぇ。

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2009.06.29

シンプリシティの法則

シンプリシティの法則
ジョン マエダ
東洋経済新報社
売り上げランキング: 37614

一番好きなのは、この一節かな。

知識はすべてをシンプルにする。

以下目次(手打ち)

シンプリシティ=健全さ
 法則1 消滅
       シンプリシティを実現する最もシンプルな方法は、
       考え抜かれた削減を通じて手に入る。
 法則2 組織化
       組織化は、システムを構成する多くの要素を少なく見せる。
 法則3 時間
       時間を節約することでシンプリシティを感じられる。
 法則4 学習
       知識はすべてをシンプルにする。
 法則5 相違
       シンプリシティとコンプレクシティは互いを必要とする。
 法則6 コンテクスト
       シンプリシティの周辺にあるものは、決して周辺的ではない。
 法則7 感情
       感情は乏しいより豊かな方がいい。
 法則8 信頼
       わたしたちはシンプリシティを信じる。
 法則9 失敗
       決してシンプルにできないこともある。
 法則10 1
       シンプリシティは、明白なものを取り除き、
       有意義なものを加えることにかわる。
1つめの鍵 アウェイ
         遠くへ引き離すだけで、多いものが少なく見える。
2つめの鍵 オープン
         オープンにすればコンプレクシティはシンプルになる。
3つめの鍵 パワー
         使うものは少なく、得るものは多く。
人生

とにかく頭文字が好きですね、作者は。

●彼女(SHE)はいつも正しい。
 S=shirnk(縮小)
 H=hide(隠す)
 E=embody(具体化する)

●SLIP:何と何を一緒にするか
 S=sort(分類)
 L=label(命名)
 I=integrate(統合する)
 P=prioritize(優先度をつける)

●シェフのおすすめと寿司職人のおまかせ

 このたとえは面白かった。
 おすすめは所詮選択でしかなく、
 あくまで選ぶ客任せ。
 でも「おまかせ」は、
 信頼、それも絶対的な信頼と、
 それに応えるという自信、
 ゆるぎない自信だ。

人生の最期にそばにおいておきたいもの、
それは一体あなたにとってなんだろう。

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2009.06.28

科学の扉をノックする

科学の扉をノックする
小川 洋子
集英社
売り上げランキング: 124083

その分野を究めようとすると、謙虚になるんですねぇ。

以下目次(アマゾンより)

1章 渡部潤一と国立天文台にて―宇宙を知ることは自分を知ること
2章 堀秀道と鉱物科学研究所にて―鉱物は大地の芸術家
3章 村上和雄と山の上のホテルにて―命の源“サムシング・グレート”
4章 古宮聰とスプリングエイトにて―微小な世界を映し出す巨大な目
5章 竹内郁夫と竹内邸にて―人間味あふれる愛すべき生物、粘菌
6章 遠藤秀紀と国立科学博物館分館にて―平等に生命をいとおしむ学問“遺体科学”
7章 続木敏之と甲子園球場にて―肉体と感覚、この矛盾に挑む

以下メモ。

● 「今はなんだかわからないので、ダーク・エネルギーと呼んでいます。
 天文学者は分からないものは全部、ダークにしてしまいますから。
 宇宙のエネルギーの7割はダーク・エネルギーです。」

 彼らのような学者でもなんだか分からないことだらけで、
 この宇宙は出来てるんですねぇ。

●ビッグバンの逆、ビッグクランチ(大収縮)が起こるかも。

 そういう可能性、あるそうですよ。
 多分、その頃にはいないですけど。。。

●「結局、一度誕生した物質は、無にはならないのです」

 姿を変えてこの宇宙をめぐり続けるわけですね。

●「ここ、駅から近くて便利でいいわね」
 「駄目だよ。カノープスが見えないじゃないか」

 ここは大爆笑。
 「駅至近眺望良但カノープス不可」


●大腸菌様

 全ての生物共通の暗号解読表。

●読む前に既に書いてあった。

 サムシング・グレイトな存在を感じますね、確かに。

●デイ・サイエンス、
ナイト・サイエンス、
そしてミッドナイト・サイエンス

 科学者のこういう顔が進歩を促すのかも。

●プログラムされた死とプログラムされた生。
 生死はペア。
 細胞には生きるための情報(遺伝子情報)と死ぬための情報が入っている。

 一番ガツンと来ましたね。
 みんな死にます。
 そしてみんな次の生につながるんですね。

この表紙の絵、素晴らしいですhappy01

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2009.06.22

フォークの歯はなぜ四本になったか

フォークの歯はなぜ四本になったか―実用品の進化論
ヘンリー ペトロスキー
平凡社
売り上げランキング: 273723

失敗ありきなんですねぇ。

以下目次(アマゾンのものに追記)

まえがき
第一章 フォークの歯はなぜ四本になったか
第二章 形は失敗にしたがう
第三章 批評家としての発明家
第四章 ピンからペーパークリップへ
第五章 瑣末のモノもあなどれない
第六章 ファスナーが生まれるまで
第七章 道具が道具を作る
第八章 増殖のパターン
第九章 流行とインダストリアル・デザイン
第十章 先行するモノの力
第十一章 開けるより封じる
第十二章 ちょっと変えて大儲け
第十三章 良が最良よりも良いとき
第十四章 つねに改良の余地がある
訳者あとがき

参考文献

以下諸々メモメモ。

●何ものも完璧じゃない

 そうなんですね。
 一見完璧に見えても、
 条件が違えば、必ず不具合がある。
 例えば、大人にはいいけど、
 子どもには高すぎる椅子とかね。

●失敗は目につく

 だからこそ、何とかしようと思うんですね。
 それが次に繋がっていく。
 そうやってモノは進化してきました。

●ファスナーってすごい

 一章使ってまるまるその歴史を追ってますが、
 あのギミックが出来るまでってすごいです。
 それにしてもあのスライダーと、
 かみ合っていく歯というアイディア、
 日常的に普通に使ってますけど、
 すごい仕組みですよね。

他にも、ポストイットとか、
ポラロイドとかの発明秘話も出てきます。
(ポラロイドの、娘さんの「どうして今すぐ見れないの?」の
一言がきっかけってのはいい話ですね。)

ただもっとこの手のエピソード中心の方が、
とっつきやすくはありましたね。

で、最後に一番驚いたのが、
この本が、アマゾンでは、\84,000coldsweats02 だったってこと。

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2009.06.18

アメリカモデルの終焉

アメリカモデルの終焉
冷泉 彰彦
東洋経済新報社
売り上げランキング: 74797

結局は、教育に行き着くんです。

まずは以下目次マインドマップ(クリックで拡大)
Photo_4

以下諸々メモ。

●グローバル・スタンダードなんて糞食らえ!

 ってここまで強くは言ってませんがcoldsweats01
 でもね、結局はその時に声の大きな国や地域の、
 それぞれの事情の利害調整の結果なんですよね。
 だから、究極の正義なんかじゃないんです。

●経済系じゃなくて教育系の人

 この作者、キャリアを見ると、
 教育関係なんですね。
 実際アメリカの大学でも教えてたみたいですから、
 アメリカの経済システム、
 例えば、他人の職域を侵さないとか、
 プレゼン至上文化(特にこれをこき下ろしてますな)などが、
 そういう風な教育の賜物だということを、
 ズバッと指摘してますね。
 だから、形だけ日本に持ってきても、
 そんなもん、ダメに決まってますよ、ってことらしく。
 ま、昔から和魂洋才は、日本のお家芸なんですが、
 ここんとこ(バブル崩壊以降)、どうも、
 成果主義とか、ホワイトカラー・エグゼンプションとか、
 時価会計とか、失敗続きのようで…。

●結局、社会がそういう人材を求めた結果なんだよねー。

 これは日本もアメリカも同じこと。
 でも、求めておきながら、その雇用に対して、
 もうやってることがひどいことになってきてる、
 特に日本の場合ね。
 今の20~30台には、
 「自分自身の生き方について、
 自分で自由にならない束縛感」が
 強くある、と。
 たった2,3年生まれるのが早いか遅いかで、
 ここまではっきりと勝ち負けの差がつき、
 挽回が仕組みとして困難だという状況、
 これはほんとなんとかしないとと思います。

●努力が報われる社会に

 最後はここですね。
 社会を信じることが出来るかどうかは、
 これに懸かってるといっても過言じゃない。

全体的に、昨今の、雇用に関する
いろんな制度や取り組みに関して、
日本とアメリカ、
それぞれの背景や現状を、
わかりやすく提示してくれてます。
同時に日本の取るべき道についても、
大胆に踏み込んでます。

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2009.06.17

四十八手

隅田川のテラスを走ってた時のこと。
場所は、蔵前橋と両国橋の間。

テラスの手すりの部分に、
相撲の決まり手が、
ちょうど透かし彫りのように、
デザインされてました。
Large

数えてみると、ちょうど48ありましたね。
実際は、82手と、非技(勝負結果)5手があるそうです。
Wikipedia参照)

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2009.06.15

世界一受けたいお金の授業

世界一受けたいお金の授業
和仁達也
三笠書房
売り上げランキング: 4357

シンプルな図でお金の基本がわかる本。

以下目次マインドマップ(クリックで拡大)。
Photo_3

以下諸々メモ。

●業界ごとの粗利率

 お金のことを語るときに、
 覚えておくといい数字ってのがあります。
 この本にも、いろいろと載ってます。
 とりあえずは、業界別粗利率は基本ですね。
  卸売業:10~20%
  小売業:20~40%
  製造業・建設業:40~60%
  飲食業:65~75%
  サービス業:75~90%

●ブロックパズルで見るお金

 この図の書き方は結構いけてますね。
 要は一つの要素を長方形にして、
 それを縦横に組み合わせていくことで、
 内訳を表していきます。

●面積を意識しろ!

 さっきのブロックパズルもそうですけど、
 生涯収入を意識する時も、
 その時点での収入だけでなく、
 時間軸も加味しないとね。
 なので、働ける期間×収入 が大事

●スタバのコーヒー一杯

 お金の構造は、すべて基本は一緒。
 家計も国家財政も会社の決算も。
 コーヒー一杯がどんな要素から
 成り立っているかですべてわかりまする。
 ってことで、ここの図は覚えとけ、ですね。

常にお金のことを意識することって、
大事ですね。
で、常に意識するには、
フォーマット的なものがあれば楽チン。
それがこのブロックパズルってことで。  

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2009.06.11

貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る
ムハマド・ユヌス
早川書房
売り上げランキング: 380

そんなけでええんやったら、
ちょっと出しとくわ。
ま、あるときに返してくれたらええから。

そんな乗りで、人にお金を貸したところから、
すべてが始まったんだよね。

銀行は貧乏人にはお金を貸さない。
返さないと思ってるからだ。
でも、実際は違った。

そのマイクロクレジットと呼ばれる無担保小額融資と、
ソーシャル・ビジネスという新たなビジネススキーム、
これが、グラミンを冠するグループの両輪だ。

お金を貸す時に印象的だったのが、
女性に貸すということ。
女性に貸せば、そのお金が回りに流れるからだ。
まずは子ども。要は未来だよねー。

著者の夢は広がります。
ソーシャル・ビジネスが、
今の営利最優先の既存のビジネスと
同じように、市場を形成し、
新たな資本主義として、
世界に受け入れられたなら、
貧困は、博物館でしかその存在の痕跡を
認めることが出来なくなる、
きっとそんな世界がやってくると。

若い世代にぜひ読んでもらいたいです。
起業を考えてるような、ね。
それと寄付を考えてるお金持ちの人たちにも、
ぜひ読んで欲しいですね。

「金は天下の回り物」を、
まさに実感できる読書でしたよ。

Photo

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2009.06.06

ハチはなぜ大量死したのか

ハチはなぜ大量死したのか
ローワン・ジェイコブセン
文藝春秋
売り上げランキング: 102

ある日、誰からも愛され、勤勉と評判で、
人のために労を惜しまない、
そんな奴らが突然いなくなった。
何の痕跡も残さず…。
上質のミステリーの香りが漂います。

原題(Fruiteless Fall)は、もちろんレイチェル・カーソン沈黙の春 (新潮文庫)
対をなしてる。でもこっちの方が楽観的かな。

以下目次(アマゾン)

ハチが消えた
あなたのその朝食は
集団としての知性
何かがおかしい
犯人を追う
夢の農薬
おかされた巣箱を見る
人間の経済に組み込まれた
複合汚染
ロシアのミツバチは「復元力」をもつ
もし世界に花がなかったら?
実りなき秋
初霜

以下諸々メモね

●2007年春までに、北半球のミツバチの4分の1が消えた。

 これが、CCDだ。北半球なんでもちろん日本も入ってる。

●命と命を結ぶ糸が断ち切られようとしている。

 『沈黙の春』からの引用。

●ある若い蜂の日記

 P50~P57あたりの蜜蜂の生態の
 擬人化された記述は、とっても面白い。
 この本の中で一番かも。

●浸透系農薬、複合汚染…。誰も調べてこなかった。

 このあたり全くデータがないらしい。
 すなわち科学的には何もわからないに等しいってこと。
 あまりに複雑に絡みすぎてて、変数が多すぎる。

●蜜蜂がまだ生きてること自体が不思議

 蜜蜂が持ってる「病気」は、ひとつじゃない。
 いっぱい持ってる。そしてその中のどれが
 最後の一押しをしたかがわからない。

●もうこれ以上何かを足すのは
 やめる時期に来ているのかもしれない

 バランスを失ったシーソーを元に戻すには、
 上がった方に加重するか、
 下がった方の重石を減らすか、
 どちらかしかない。
 でももう加重するのはやめようよ。
 シーソー自体が折れてしまうかも。

●自然の生態系の一部であると同時に
 経済システムの一部である

 今んとこ、これは相反することが多すぎる。
 でもこれを相互フィードバックにもっていく、
 そんなことがこれから必要になるはず。

●もし世界に花がなかったら?

 花の生き残り戦略を見よ!
 ここも面白い箇所です。

●根源種。そのシステム全体にとっての要石。

 そこがやられると、すべてが崩壊してしまう、
 そんな箇所がすべてのシステムには内在してる。
 複雑だとか、強固に守られてるとか、
 高価だとか、そんなことに全く関係なく。

結論としては、自然治癒力というか、
復元力頼り。
そしてそこに行くには、
一旦今の効率・利益至上主義の
経済システムから抜ける必要があるかもしれない、
そんなことを考えました。

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2009.06.02

反貧困 -「すべり台社会」からの脱出

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
湯浅 誠
岩波書店
売り上げランキング: 1336

まずはそこにある貧困を認めることからすべては始まる。
多分遠い話じゃない。
いつ明日は我が身となってもおかしくないね、
今のこの国では、ね。

以下目次。アマゾンのはあんまりだったんで手打ち。

  まえがき
  第I部 貧困問題の現場から
   第一章 ある夫婦の暮らし
   第二章 すべり台社会・日本
   第三章 貧困は自己責任なのか
  第II部 「反貧困」の現場から
   第四章 「すべり台社会」に歯止めを
   第五章 つながり始めた「反貧困」
   終章 強い社会をめざして-反貧困のネットワークを
  あとがき

以下諸々メモ。

●貧困の世代間連鎖

 親が貧乏だったらその子も貧乏ってパターンが、
 やはり統計上多いらしい。
 特に母子家庭にその傾向が目立つとのこと。
 これは、『子どもの貧困』でも言ってたこと。

●三層のセーフティネットの綻びと五重の排除

 雇用のセーフティネット
 社会保険のセーフティネット
 公的扶助のセーフティネット

 普通上位のネットがほころびても、
 その次の層がカバーすれば、
 っておもうけど、どうやらこの国のは、
 そうなってないようだ。
 ズドーンと一気に下まで落ちかねない。
 それを「すべり台社会」と喝破した筆者。

 そして五重の排除。
 教育課程からの排除、
 企業福祉からの排除
 家族福祉からの排除
 公的福祉からの排除
 そして、それらから排除された結果として、
 最後に自分自身からの排除。

 自己責任論によって、
 「あなたのせい」と詰め寄られ、
 最後は、「自分のせい」と、
 自らを追い込んでいく。

●貧困とは選択肢が奪われていき、
 自由な選択ができなくなる状態

 筆者は、それを「溜め」と表現する。
 預貯金もそうだし、
 困った時に助けてくれる家族や友人関係といった、
 人間関係もある種の溜め、なのだ。
 そういう余裕がないと、人は少なくとも、
 満足には生きていけない。

●人間は複数の居場所がないともたない生き物

 家庭と職場であったり、
 あるいは、現実とネットでもありかもしれない。
 居場所もまた「溜め」なのだ。

●貧困は人間ではなく社会の方にある

 人間らしい生活をおくる権利、
 その権利を保障するのが国家の責任なら、
 それを満たすことが出来ない「貧困」な国、
 それが今のこの国の状態なのかもね。

●貧困の最大の特徴は「見えない」ことであり、
 最大の敵は「無関心」なのだ。

 だからこそ、この本の意義がある。

でも、少しずつつながり始めてるよね。
そんな気がしてくる読後感でした。

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2009.05.31

中国貧困絶望工場

中国貧困絶望工場 「世界の工場」のカラクリ
アレクサンドラ・ハーニー
日経BP社
売り上げランキング: 14363

原題そのまま(The China Price)の方がよかった。

確かに貧困も絶望もあるんだけど、それだけじゃない。
それをもたらす側の問題も提起してるんだから、
一方の視点からだけの釣りタイトルはちょっとね。
ま、毒入り餃子とか大気汚染とかあったから、
仕方のない面はあるにしろ。

で目次(アマゾン)

  日本語版への序文
  謝辞
  はじめに 妖しい魅力
  第一章 路線変更
  第二章 五ツ星工場
  第三章 労災コスト
  第四章 一攫千金を夢見て
  第五章 立ち上がる労働者
  第六章 従業員寮八一七号室の娘たち
  第七章 損得勘定と社会的責任
  第八章 新モデル工場
  第九章 チャイナ・プライスの将来
  参考文献
  訳者あとがき

以下諸々メモ。

●チャイナ・プライスとか言われてるけど、
 今やその代償を支払わされてる。

 その超安値を実現させるために、
 労働者の搾取や、
 知的財産権の無視や、
 環境汚染・健康問題など、
 数多くの問題を抱えながら、
 前へ進んできたけど、
 ここにきて、さすがに、これらの問題を
 無視できなくなってきた。
 それは、内からも外からもそう。

●二つの工場。
 一つは、取引先に見せる工場で、
 「モデル工場」「五つ星工場」と呼ばれている。
 もう一つは、実際に生産する工場で、
 「陰の工場」「黒い工場」と呼ばれている。

 で、もちろん、超安値を支えているのは、
 「陰の工場」。
 わかってて、やってる方も、
 見て見ぬ振りしてる方も、同罪だ。

●民間無免許炭鉱主のノートに書かれていた詩。
 「他人の悩みを気にする奴などいやしない
 だから泣きごとを言っても始まらない
 カネのある奴には貸そうとするが
 カネのない奴は借りられない
 雨のとき傘をくれたらありがたい
 でもそんな話は滅多にない
 うまくやれるし もっとできるのに
 いつも悪い奴に横取りされる」

 世界には二種類の人間しかいない。
 搾取する側とされる側だ、
 なんてことを言いたくもなる。

●実際評価されるのは、価格や品質がベストである工場ではなく、
 最高の偽造技術を発揮した工場の方だ

 とにかく偽造天国。帳簿からタイムカードまで。
 ただこれも生き残る手段の一つ。
 そうさせてるのは、ブランド業者側だったりする。
 自分の首を自分で絞めあってる。

●広東の言葉
 「インチキはインチキ。それがどうした」

 何だかもうやりきれない気分。
 でもその積み重ねが今や見直しを迫られているのも事実。
 こういうやり方があるってのもグローバリズムの事実だし、
 それがまかり通り続けはしないってのも、
 グローバリズムの事実。

●結局人を大切にした方が、
 生産性があがったり、品質が安定したり、
 技術力が向上したりで、
 最終的には生き残れる。

 新たなモデル工場として、労働者自体による
 労働者委員会がある工場を例にあげている。
 そこでは離職率が大幅に下がり、
 工場全体が一つの家族的な雰囲気があるらしい。
 こうなると、その工場は強いよね。
 家族の絆ってのが強力な付加価値としてつくから。

結局、経済学のルールを無視して、
「ボクシングのリングで見えない青龍刀を振り回している」
とまでいわれた「チャイナ・プライス」。
それは、日本の「賢い」消費者にも、
関係する問題だったことがよくわかる。

そしてその超安値の代償は、
中国だけでなく、わたしたちにも降りかかってくるんだよね。

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2009.05.30

悼む人

悼む人
悼む人
posted with amazlet at 09.05.30
天童 荒太
文藝春秋
売り上げランキング: 318

しっかし、読みにくい名前ばかり、
よくそろえたよなぁcoldsweats01
そこにその漢字かよって感じ。

印象に残ったところを以下に。

●魂の耳。耳は最後まで感覚が残っている。

 人間、死ぬ間際でも、回りの声は聞こえるらしい。
 一番ウソのない感覚なのかもね。

●とにかく死者を忘れない、覚えておく。

 主人公は、どんな形で亡くなった人にも、
 「誰を愛したか」「誰から愛されたか」
 「人に感謝されたことはあるか」
 を出来るだけ聞こうとする。
 そしてそれらを自分の心に刻み付ける。
 それが彼にとって「悼む」ということらしい。

ただ、最後に、途中から後をついてきた女性と、
結ばれるんだけど、そこからの展開がちょっとなぁ。

それと、話としてはご都合主義だけど、
やはり母親の死には立ち会って欲しかったなぁ。
ちょっと残念。

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2009.05.23

生物から見た世界

生物から見た世界 (岩波文庫)
ユクスキュル クリサート
岩波書店
売り上げランキング: 11643

いわば「環世界の旅行記」。

まず「環世界」っていう表現が耳慣れないです。
要は生物一個体から見た世界っつーか、
「オレからしたら世界はこう見える」という時の
「世界」ってことかな。
主体の意思とか感情が左右する世界でもあるね。
でもって、生物の数だけ世界はあるってことだよね。

まずは目次(アマゾン)

  環境と環世界
  環世界の諸空間
  最遠平面
  知覚時間
  単純な環世界
  知覚標識としての形と運動
  目的と設計
  知覚像と作用像
  なじみの道
  家と故郷
  仲間
  探索像と探索トーン
  魔術的環世界
  同じ主体が異なる環世界で客体となる場合

個人的には、6章の「目的と設計」から
7章「知覚像と作用像」あたりが面白かったです。

特に6章の冒頭。長くなるけど引用してみます。

われわれ人間は、ある目的から次の目的へと、
苦労しながら自分の生活を進めていくことに慣れているので、
他の動物も同じような生き方をしていると信じて疑わない。
これは基本的な思い違い(中略)
環世界を観察する際、
我々は目的という幻想を捨てることが
何より大切である。
それは、設計という観点から
動物の生命現象を整理することによってのみ可能である。
(中略)目的にかなった行動自体が
やはり全体として自然設計に組み込まれているのである。

人から見れば、
子どもを守ろうとする親鳥の行動も、
実は親鳥からすれば、
ある刺激に対する反射でしかなかったりする。
前もって組み込まれた行動というわけ。

で、こういう見方、考え方って、
最近の脳科学っぽいと思えて仕方ありません。
ほら、最初にやる気を出して、
行動を起こすんじゃなくて、
行動したら後からやる気がついてくる、ってやつ。
何か似てない?

働きかけないように
注意しながら観察してきた自然、
そうしてわかってきたいろんなことは、
実は、働きかける生き物の存在を
あらかじめ内包してたってこと?
だったら生き物なんてものは、
その自然のワンピースで、
機械の歯車と一緒だよねー。
ってそういう考え、実は好きだったりしますが(^^;

でもいまや、
阿呆の人類のせいで、
自然の設計図どおり
いかなくなってきたようです。

もし今ユクスキュルが生きてたら、
この世界をどう見るでしょうか。
それが一番気になったりします。

短いですけど、
なかなかに深い読書でありました。

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2009.05.22

無一文の億万長者

無一文の億万長者
無一文の億万長者
posted with amazlet at 09.05.22
コナー・オクレリー
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 50635

寄付って投資なんだなぁ。

ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットなんかの
手本となった人物の一代記です。

以下目次(アマゾンより)

  第1章 蓄財
  第2部 潜伏
  第3部 分裂
  第4部 寄贈

ちょっと心に残った箇所をメモ。

●問題に金を出さない。解決策に金を出す。

 これこそが「投資」。
 生きてるうちにその効果を見ようとするなら、
 これしかないよねー。
 問題なら、誰しもが抱えてる。
 でもそれを本当に何とかしたいなら、
 それに対する手立てを持ってるはず。
 だから「解決策」を持ってる人にお金を出す。

●バーナード・バルチ「誰の功績になるかを
 気にしなければ、何でもやり遂げられる」

 これは肝に銘じておきたいですね。
 誰がやったかじゃなくて、
 何が出来たかですね。

●いろいろと「決断」する際、
 「何もしない」ことを「決断」する

 NHKでみた「ハゲタカ」でもありました。
 最後のディールとなった「おおぞら電機」。
 菅原文太演じる会長の言葉で、
 「勝ちたいなら何もしないことだ」
 じたばたしたいところをこらえて
 「何もしない」ってのは、
 かなり勇気のいることですよね。
 面倒くさいから、何もしない
 というのもありますが(^^;
 でも結果として同じだったりすることも
 あるんで、これまた面白いよねー。

●靴を何足持っていようと、
 一度にはけるのは一足

 墓までお金を持っていっても、
 仕方ないもんね。
 生きてるうちにお金を使い切って、
 財団そのものを消滅させるという
 exit planは見事ですね。
 このあたりが、
 ビル・ゲイツやらの手本となったところ。

●隠居の楽しみの3つのG。
 Golf、Grandchildren、Gardening

 いずれもわたしには縁がなさそう(^^;

●人助けとは自助努力を支援すること

 こないだ読んだ『アフリカ・レポート』にも
 ありましたね。
 この意味で一番なのは、
 やはり「教育」に対する支援じゃないかな。
 フィーニーも特に高等教育の支援に、
 力入れてます。

●助けてあげたら、代わりに誰か他の人を
 助けること

 広げよう、支援の輪。
 恩返しより、恩送りですね。

●お金はうんこ。ばら撒いて肥やしにして、
 物事を育てて実現させる。

 フィーニーの友人の母親の言葉だったようですが、
 いい表現ですね。ほんとそうですねー。

●死に装束にポケットはない

 はい、死ぬ時はシンプルに。
 

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2009.05.17

システムはなぜダウンするのか

それは、人が作ったものだから。

以下目次(アマゾンより)

第1章 システムが止まった…
――「ダウン」とは何か
1.1 停止=ダウンは誤解
1.2 ダウンは原因から4種類に分けられる

第2章 きちんとテストしたはずなのに…
――アプリケーション・ソフトの不具合
2.1 突然に目を覚ます20世紀のバグ
2.2 忘れたころにやってくる「日付問題」
2.3 データベースのデッドロックが連発

COLUMN こちらシステム・ダウン相談所
システム・ダウンが「3K」の一因?

第3章 アプリケーションだけではない…
――OS、ミドルウエアの不具合
3.1 停止を検知できない
3.2 組み合わせを変えたら動かない
3.3 メモリーをつかんだまま解放しない

第4章 アクセス殺到に耐え切れず…
――性能・容量不足
4.1 ハードウエアの性能を生かしきれない
4.2 メモリー、CPUが足りない
4.3 通信データの増加がダウンをまねく
4.4 データベースが満杯に
4.5 夜が明けてもバッチ処理が終わらない

COLUMN こちらシステム・ダウン相談所
運用担当者は叱られ役?

第5章 気づかなかったは許されない…
――環境設定・変更ミス
5.1 つい見逃すパラメータ変更
5.2 システム環境の変更ミス
5.3 パッチ・ファイルの適用忘れ
5.4 カレンダーの設定ミス

第6章 その「うっかり」が致命傷…
――運用・操作ミス
6.1 運用コマンドを間違える
6.2 データの移行・入力ミス
6.3 待機系への切り替えに失敗
6.4 混乱が「2次災害」を生み被害拡大

第7章 まさか、こんなことが起こるとは…
――ハード故障、不慮の事故
7.1 サーバーが壊れた
7.2 通信ネットワークが不通に
7.3 コンピュータ、電気なければただの箱
7.4 震災でデータセンターが破壊・焼失

COLUMN こちらシステム・ダウン相談所
ダウンが減りすぎて困る?

第8章 障害対応は時間との闘い…
――ダウンに学ぶ
8.1 原因究明よりも復旧を優先

同じ業界に身を置くものとして、
身につまされることです。

自らの経験からすると、
もっとも厄介なのがネットワーク障害かな。
というのも、
影響範囲が広がりがち、
目に見えにくい、
そこを疑うのが一番後になりがち、
などなど。

その原因の分類の仕方といい、
よくまとまっているとおもいます。
例としても適切で、
結構深いところまで突っ込んでるし、
図もいい。

運用保守担当者だけではなく、
システム開発に関わる、
ステークホルダー全員必読でしょ。

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2009.05.15

銀河の世界

銀河の世界 (岩波文庫)
ハッブル
岩波書店
売り上げランキング: 384427

『世界がわかる理系の名著』からの派生読書。
最後はざっくり読み。

アマゾンではもはやマーケットプレイスのみでの扱いで、
それも結構高額。さすがは岩波文庫ってところか。

で、目次(簡略)。

  はじめに
  イントロダクション:科学の研究
  第1章 宇宙の踏査
  第2章 銀河の分類と性質
  第3章 銀河の分布
  第4章 銀河までの距離
  第5章 速度-距離関係
  第6章 局部銀河群
  第7章 一般の場所の銀河
  第8章 銀河の世界

ハッブルといえば、ハッブル望遠鏡。
でもこの人が望遠鏡を作ったわけじゃない。
それを使った観測の人。
観測して、その結果に基づいて、
考えを展開し、そこをまた観測で埋めていく。
そういう科学の本質を究めた人ですね。

手段としての掃天観測、
その結果見つかったセファイド変光星。
それを指標として、明るさの等級がわかる。
明るさがわかれば、距離がわかる。
距離がわかれば、速度がわかる。
速度がわかれば、大きさがわかる。
大きさがわかれば、場所がわかる。
場所がわかれば、分布がわかる。

これに赤方偏移が加わって、
最後はビッグバンに繋がる
宇宙膨張論へと至ると。

とりあえず、最初のイントロ部分は、読むべし。

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2009.05.10

SaaSで激変するソフトウェア・ビジネス

SaaSで激変するソフトウェア・ビジネス ~ソフトウェア業界を揺るがす破壊的イノベーション~
城田 真琴
毎日コミュニケーションズ
売り上げランキング: 36335

ちょっと仕事関連で読みました。
とてもよくまとまってるとおもいます。

以下目次です。

  はじめに
  第1章 台頭するSaaS企業
  第2章 セールスフォース・ドットコム躍進の秘密
  第3章 進化を続けるSaaS
  第4章 「サービス化」の波に翻弄されるソフトウェア業界
  第5章 ユーザー企業のSaaS活用戦略
  第6章 SaaSの将来展望
  おわりに

よくアマゾンで購入しますが、
この本は既に在庫がないようで、
マーケットプレイスで購入しました。

1年半前とはいえ、
内容的にはそんなに古びていないし、
何より、ようやく業界が
追いついてきた感があります。

それだけに、
今こそもっと読まれてもいいかと。

情報システムは、
「所有」から「利用」へと、
その方向性が変わりつつあります。

それに伴い、
経営そのものも、
「持つ経営」から「持たざる経営」へと、
その舵取りが変わっていく、
そういう指摘が印象に残る良書です。

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2009.05.02

ラスト・イニング

ラスト・イニング (角川文庫)
あさの あつこ
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 32409

書いてあったのは試合結果。
読みたかったのは試合そのもの。
そのギャップ。
そこをキャラクタと風景描写じゃ埋められない。
それでも野球のすごさ、美しさ、残酷さ、深さは伝わる。


  野球という競技は、
  歓声や喜びの叫びや嬉し涙よりも
  呻きや落胆や口惜しさにより多く彩られているものだ

切に巧の行く末が読みたい。

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2009.04.29

世界がわかる理系の名著

世界がわかる理系の名著 (文春新書)
鎌田 浩毅
文藝春秋
売り上げランキング: 2722

いまんとこ、今年一番。

まずは目次っす。

はじめに
第1章 生命の世界
 ダーウィン『種の起原』
 ファーブル『昆虫記』
 メンデル『雑種植物の研究』
 ワトソン『二重らせん』
第2章 環境と人間の世界
 ユクスキュル『生物から見た世界』
 バヴロフ『大脳半球の働きについて-条件反射学』
 カーソン『沈黙の春』
第3章 物理の世界
 ガリレイ『星界の報告』
 ニュートン『プリンキピア』
 アインシュタイン『相対性理論』
 ハッブル『銀河の世界』
第4章 地球の世界
 プリニウス『博物誌』
 ライエル『地質学原理』
 ウェゲナー『大陸と海洋の起源』
あとがき
本書で参考にした図書

フォーマットの勝利といえるかも。
以下の統一された形で
簡潔にまとめられてます。
・「書いたのはこんな人」
 著者の人となりが簡単に紹介されています。
・「こんなことが書いてある」
 著書の簡潔なまとめ。
・「その後、世界はどう変わったか」
 著者および著作のその後の世界に与えた影響について。
・「エピソード」
 著者の魅力をまた別の角度で。
・「○○○の教訓」(○○○には著者)
 その後の科学の世界に与えた意味などについて
・「さわりピックアップ」
 著作のさわりを抜粋。
・「コラム ○○○後」
 この本の筆者が選んだブックガイド

このフォーマットのおかげで、
ざっと概観するにはうってつけです。

以下ざっとメモ。
●フォーマットが見事にはまってる。

●サポーターに恵まれたダーウィン。妻がウエッジウッドの創業者の孫。

●サイエンスライターの先駆けだったファーブル。
 こちらは貧乏。『昆虫記』はむっちゃ平易。
 フランス人は犬より小さいものは目に入らない!?
●メンデルは純粋なオタク科学者。

●二重螺旋のワトソンはイメージの人。イメージ駆動型。

●ユクスキュル。大共感。
 「生物が自分を中心として意味を与えたものが本来の環境」
 「環世界」
 「主体が意味を与えたもののみがそこに存在する」

●パブロフ。客観性と再現性。実験と検証の意義。

●「けんか屋」ガリレオ

●最後の錬金術師ニュートン
 科学者が選ぶNo.1科学者。
 ちなみに一般人の選んだNo.1はアインシュタイン。

●アインシュタイン
 「才能とは生まれながらにして頭を疲れさせないシステムを搭載していること」

●ハッブル
 神は何物をも与える。
 イケメンにして成績優秀、スポーツ万能、
 明るい性格、冒険野郎、そして歴史に名を残す科学者。

やはり文章のうまい人が名を残すということですね。

最後に筆者のブックガイドもよかったです。
読書の醍醐味でもある「読書数珠繋ぎ」状態に陥ります。
あぁ、またアマゾンの欲しいものリストが長くなる。

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2009.04.27

ヒトとサルのあいだ

ヒトとサルのあいだ―精神(こころ)はいつ生まれたのか
吉田 脩二
文藝春秋
売り上げランキング: 99099

そこはかとなく
トンデモ本の香りがするところが、
いい感じです。

以下目次です。

 こころの時代に必要な新しい精神理論
 第1部 精神誕生の道のり(ヒトがサルから進化したことは周知の事実です。
  赤ん坊はある時期から、劇的に言葉を語り始めます。)
 第2部 現世人へ―言語誕生の道のり(北京原人もネアンデルタール人も人類の直接の祖先ではありません。
  なぜ滅びたのか。第一段階、原人の脳が大きくなりすぎました。)
 第3部 「精神」とは(眼科医は眼のことを知り、皮膚科医は皮膚のことをよく知っています。
  ピカソもベートーヴェンも異能の人でした。)
 第4部 狩猟採集民から農耕民へ(人間らしさは、言語を獲得した時点で生じました。
  釈迦、ソクラテス、孔子がほぼ同時にこの世の中に登場しました。)
 最後に

以下ざっとメモ。

●奇跡とか、運命的とか。ちょっと大げさ…。

●たとえが少しずれてる感じ。マザー・テレサとアル・カポネとか。

●わたしの「理論精神学」

●因果律に従わない精神

●全能因子

●人間は仮想現実世界を生きる唯一の生き物

●精神と夫婦。ここの部分はちょっと面白いよ。

●隠された発情期

●本来生き物はすべてデジタル的に外界を認知する。
 しかし人類は、デジタル情報を
 アナログ化することによって生き延びてきた。

最後に。
引用部分の文字が一回り小さく読みにくい。
てかその引用部分をふまえて、
あとの展開につなげるんだったら、
自分で簡潔にまとめて欲しい。
原文は注釈にするなりせんかい!
注釈だったらあの小ささでもいい。
どうせざっくり読みの場合読まないから。

結構決め付けがあったりとか、
危なっかしい部分はあるけど、
ちょっと面白い読書ではありましたね。

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2009.04.22

現代語訳 学問のすすめ

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
福澤 諭吉
筑摩書房
売り上げランキング: 711

あまりにも有名な冒頭の一節で始まるこの本を、
日本語音読教の教祖、齋藤孝氏が、
リズミカルに現代語に訳した一冊。

目次は以下。

  学問には目的がある
  人間の権理とは何か
  愛国心のあり方
  国民の気風が国を作る
  国をリードする人材とは
  文明社会と法の精神
  国民の二つの役目
  男女間の不合理、親子間の不条理
  よりレベルの高い学問
  学問にかかる期待
  美しいタテマエに潜む害悪
  品格を高める
  怨望は最大の悪徳
  人生設計の技術
  判断力の鍛え方

わたし自身も冒頭だけで
読んだような気がしたんだけど、
それは全くの錯覚で、
読んだことのない作品だった。

で、さすがは齋藤先生。
たたみかけるようなテンポと
リズムが実に心地よい。

実は文語体って、
美しいリズムを持ってるとおもう。
それを損なうことなく、
今の言葉に置きなおすことに成功している。

内容的には、国家と個人の関係の件なんか、
今のこの世の中にこそ、
参考にすべきなんじゃないかなと。

それと後半はまさにビジネス書。
今の世にも十分通用する内容。

ま、とりあえず、これ読んどけば、
後でほんまもん読むときにも、
とっつきやすくなること請け合い。

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2009.04.15

井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室

井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室 (新潮文庫)
井上 ひさし
新潮社
売り上げランキング: 51193

結構いろんな文章読本を読んできました。
で、この本にもやはりありました。
「自分にしか書けない事を誰にでもわかるように書く」
それが文章の基本だと。
そこに長期記憶を絡ませるのは初めてでしたね。

「が」と「は」の違い、
「が」は未知のものについて、
「は」は既知のものにつく。
ここまですっきりしたのもはじめてかも。
これは長期記憶に残さねば(笑)。

あとがきの「恩送り」(江戸時代には普通に使われていたらしい)もよかったです。

  誰かから受けた恩を、
  直接その人に返すのではなく、
  別の人に送る。
  その送られた人がさらに別の人に渡す。
  そうして「恩」が世の中をぐるぐるぐるぐる回っていく。

そしていつの日かじぶんの元へ、
なんて考えると、ダメなんだよねー。

こういうことこそ、
学校できちんと教えるべきだと、
おもうんですけどねー、
いやほんま。

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2009.04.13

「依存症」の日本経済

「依存症」の日本経済 (講談社BIZ)
上野 泰也
講談社
売り上げランキング: 55990

日本経済の問題点を、
様々な「依存症」という
一種の病気に犯されているととらえ、
分析とその処方について論じた著作。

以下目次。

  第1章 日本の個人消費は「女性依存」 ~婦人服売上高にカギがある
  第2章 お父さんのこづかい減少でわかる「交際費依存」体質 ~「消費弱者」に逃げ場はあるのか
  第3章 なお残る「建設業依存」と構造調整圧力 ~中小・非製造業は生き残れるのか
  第4章 食料の「海外依存」は本当に問題なのか ~40%の食糧自給率が意味するもの
  第5章 緩和への熱が冷め「規制依存」に逆戻りする日本 ~このままでは国ごと沈んでしまうのか
  第6章 教育はどこまで「学習塾依存」を強めるのか ~ゆとり教育が生んだ3つの弊害
  第7章 景気判断や買い物で「マスコミ依存」する日本人 ~景気の波と報道の影響力の関係
  第8章 投資に移行しにくい家計運用の「預金依存」 ~間接金融中心で何が悪い?
  第9章 主導権を握れず「外国人依存」が続く金融市場 ~ブレークスルーを生む政策を打ち出すために
  第10章 日本経済はやっぱり「米国依存」 ~否定された「デカップリング論」
  第11章 ケーススタディ:少子高齢化の秋田県は「日本の未来図」

著者の本職でもある
「投資」に対する慎重な姿勢が印象的。

また、今後の日本を「人口減少社会」ととらえ、
経済を担う根源の力である「人口」の減少に対して、
グリーンスパンの独特のアイディアを紹介しながら、
外国人を含んだ形の
「滞在型人口」の増加を
目指していくべきだと提言しているのが心に残ります。

最後の秋田県の「ケーススタディ」に、
絶望と希望の両方が見えますね。
そしてそれはそのまま、
秋田だけじゃなく日本の、
ひいては世界全体の問題として、
これからますます注目されてくるんでしょうね。

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2009.04.10

明治時代の人生相談

明治時代の人生相談―一〇〇年前の日本人は何を悩んでいたか
山田 邦紀
日本文芸社
売り上げランキング: 322559

ツレに面白いぞ、と紹介されて。
悩みを書いてそれに識者が回答するという
人生相談のフォーマットは
既に明治時代には確立されていたようで。

それにしても、相談の内容は、
いつの時代もそう変わらないようで。

あ。それと。
戸主の許しがないと
結婚できないってのが、
終戦直後(昭和22年)まで、
生きてたってのには、
ちょっと驚き。

圧倒的に多い女性の相談者と
これまたほとんどの回答者が男性
というところから来る
「おいおい」感がまた
今からすると面白いよー。

悩み多き人には、おすすめ。
みんな昔から悩んでおるんじゃよ、
ってことで。

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2009.04.09

魚舟・獣舟

魚舟・獣舟 (光文社文庫)
上田 早夕里
光文社
売り上げランキング: 143663

あやかしと人工の知性体が
奇妙に融和している、
そんな感じが満ち満ちている短編集。

何かこうしっとりしてるんよなぁ。
読んでると微妙に琴線に触れる感じ。
実家のあるところが舞台になってたりして、
親近感わくし。

中でも「小鳥の墓」が一番好きかな。
死にたがってる人の手助けをして、
きちんと殺してあげる、
そんな男の話。
思春期の頃の、
教育実験都市
みたいなところでの
体験が読ませる。

海の好きな人には、
おすすめです。

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2009.04.08

アマゾン・ドット・コムの光と影

アマゾン・ドット・コムの光と影
横田増生
情報センター出版局
売り上げランキング: 11140

今や、ここで書かれていた
年間売り上げ1000億は、
書籍だけで突破しているようですね。
最後に書かれていた
日本の出版業界の「常識」を
覆すという状況は、
もう既に達成されつつあるのか、
もう一度その後を取材してもらいたいものです。

以下目次です。

  プロローグ 密かに急成長するアマゾンジャパン
  第1章 アマゾン・ドット・コム上陸前夜
  第2章 アマゾン心臓部・物流センターの実態
  第3章 空虚な職場に集う人々
  第4章 アマゾンの秘密主義を恐れる出版業界
  第5章 日本で躍進した本当の理由
  第6章 その強さの裏側にある底辺
  第7章 アマゾンの目指す「完成形」
  エピローグ アマゾン化する社会の行方

わたしは、プレミアム会員じゃありませんけど、
あの仕組みも、すべての送料を無料にする代わりに、
年会費をとるということで、
購買行動に関わらず、
固定収入が入ってくるんですから、
経営上は大きなプラスなんでしょうねぇ。

売上規模も取扱商品も、
これが書かれた時よりも、
はるかに増えてはいますが、
おそらく物流の現場は、
基本的には変わっていないはずです。
というのも、コストパフォーマンスからすると、
当時の方法論は、
ベストに近いものだったでしょうし、
さらに、むしろ昨今の経済状況からすると、
より、使い捨て状況に
拍車がかかっていても
おかしくないような。

でもこれを読んで
アマゾンの秘密主義には、
ちょっと嫌な感じがしました。
結局のところ、それは、
文句を言わない従業員の選別につながり、
そして最後には、
そこで働く人たちは、
何も自分たちでは考えずに、
ただひたすら言うとおりに、
物言わずに従う、
いわばロボットと化してしまう、
そんな未来に繋がるのでは、と。

まるで1984の世界というと、
飛躍しすぎですかね(^^;

とはいえ、
昨日もポチっとクリックしてしまった
わたしにとって、
今やアマゾンはないと困る
サービスになってしまってたりするんですな、これが。。。

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2009.04.07

アフリカ・レポート

アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々 (岩波新書)
松本 仁一
岩波書店
売り上げランキング: 3669


  国の独立」から「人々の自立」へ

日本が本当にやるべき援助の方向性がここにある、
そう感じました。

以下目次です。

  序章 アフリカの今―ルムンバの夢はどこへ行ったか
  第1章 国を壊したのは誰か―ジンバブエで
  第2章 危機に瀕する「安全」と「安心」―南アフリカ共和国で
  第3章 アフリカの中国人―南アで、アンゴラで、スーダンで
  第4章 国から逃げ出す人々―パリで、歌舞伎町で
  第5章 「人々の自立」をめざして―農村で、都市スラムで
  第6章 政府ではなく、人々に目を向ける―ケニアで、ウガンダで、セネガルで

権力は腐敗する。
絶対権力は絶対腐敗する。

そんな言葉を思い出しました。
それほどアフリカ諸国の、
指導者層の腐敗ぶりには、
衝撃を受けました。

特に南ア。
ネルソン・マンデラに象徴される、
アパルトヘイトからの脱却後、
希望に満ちた国づくりが進んでる、
そう何の根拠もなく思ってました。
ところが、治安をおろそかにしたばっかりに、
そのしっぺ返しを受けているようです。

ケニアも、
首都ナイロビのイメージが強く、
あまりうまくいってない印象はありませんでした。

それにしても、中国の、
本当の影響力は、
こういうところにあるのかと
驚かされます。
いつのまにやら、
その国の大衆層の
生命線を握る立場にあったりします。

最後には、アフリカで
成功している二人の日本人の会社が、
紹介されています。
特に印象に残ったのは

  努力が報われるシステムの保障

という言葉です。

トップダウンから、
ボトムアップへ。
その流れが、
アフリカを変えていくのかもしれません。


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2009.04.06

約束の地

約束の地
約束の地
posted with amazlet at 09.04.04
樋口明雄
光文社
売り上げランキング: 30375

犬と人の歴史は長い。
いつ、誰が決めたのか、
とにかく互いに持ちつ持たれつで
暮らそうと契約を結んだ間柄だ。

主人公・七倉航が支所長を務める
野生鳥獣保護センター・八ヶ岳支所の、
精神的支柱であり、
猟の名人・戸部徹太郎の言葉です。

動物が主役の話です。
特に「稲妻」とあだ名される巨大なツキノワグマと、
これも「三本足」と呼ばれる巨大イノシシ、
彼らが育まれてきた自然に、
狂わされていきます。
もちろん人のせいです。

そしてもうひとつ。
これは犬と人の話でもあります。
特に途中で主人が変わり、
犬が苦手な主人公が、
面倒を見る羽目になった
ベアドッグ・ダンが、
いいんですよ。
あと渋いところでは、
戸部さんの分身、紀州犬の吹雪。
まさにこの飼い主にしてこの犬あり、
ってな感じです。

最初のイメージよりも、
はるかに厳しく、辛い
ストーリー展開でしたが、
それぞれ納得の行く落ち着き方かな、
そんな気がします。

おすすめです。

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2009.04.03

虎よ、虎よ!

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2) (ハヤカワ文庫SF)
アルフレッド・ベスター
早川書房
売り上げランキング: 68865

結局何がそんなに面白いのか、
よくわかりませんでした。

ジョウントと呼ばれるテレポーテーションとか
パラレル宇宙にわたる存在とか、
それなりにハードな部分はあるけど、
大筋は、復讐のためにだけ生きる
放浪の男と、彼をめぐる様々な勢力、
そして大いなる秘密と、
宇宙の行く末が、
もうどんどんと絡みながら、
ねじれていきます。

で、一番よくわかったのは、
怒りがもっともにあう動物は、
虎だということ。

ほとんど誰にも感情移入できない、
そんなお話です。

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2009.04.01

子どもの貧困

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)
阿部 彩
岩波書店
売り上げランキング: 703

本当にこの国は子どもに優しくない、
まずはそこから変えないといけない、
強くそう思いました。

目次です。
  第1章 貧困世帯に育つということ
  第2章 子どもの貧困を測る
  第3章 だれのための政策か―政府の対策を検証する
  第4章 追いつめられる母子世帯の子ども
  第5章 学歴社会と子どもの貧困
  第6章 子どもにとっての「必需品」を考える
  第7章 「子ども対策」に向けて

以下ざっとメモ。

●貧困には、相対的貧困と絶対的貧困がある。
 貧困を論じるには相対的貧困の方が重要。

●再分配前の所得より再分配後の所得の方が
 貧困率が高くなる。ということは、
 国が関わると貧乏になるってこと。

●貧乏人の子だくさんはある程度本当である。

●防貧機能は逆機能。

●母子家庭がキー。
 「子どものために早く死にたい」と、
 母親に言わせる社会は許されるべきではない。

●「努力」でさえ、社会階層の影響下にある。
 「誰でも頑張れば…」から「頑張っても仕方ない」へ。

●日本版ヘッドスタートとして、
 保育所は有望であり、ここにお金をかけるべき。

●子どもの必需品への支持が低い日本。

●日本は子どもの貧困に鈍感。貧相な貧困観。

●すべての子どもが享受すべき
 最低限の生活と教育を
 社会が保障するべきである。

幼少の頃の貧困が、
後々まで響くのです。
子どもは未来そのものです。
未来のためにも、
まずは子どもから、
じゃないでしょうか。

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2009.03.22

グローバリズム出づる処の殺人者より

グローバリズム出づる処の殺人者より
アラヴィンド アディガ
文藝春秋
売り上げランキング: 49769

彼らがいつまでも奴隷のままなのは、
この世の美しいものが見えぬからだ

光と闇。
インドも、その内部に
いろんな矛盾を抱え、
持てるものと持たざるものの格差は、
凄まじいばかりです。
そしてその格差こそが、
グローバリズムの原点
と思えてなりません。

黄色の中国人、
茶色のインド人。
彼らが世界の支配者になる日は、
そう遠くないかも。

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2009.03.14

サイエンス・インポッシブル

サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か
ミチオ カク
日本放送出版協会
売り上げランキング: 958

神はさいころを振るsign02

実に楽しい読書でしたよぉhappy01
SF好き、
特に『スター・トレック』好きにはたまらないかも。
いろんなところで、
『スター・トレック』が出てきます。
(わたしはほとんど知らないですがcoldsweats01)

まずは目次を見てみましょう。
はじめに
PART1.不可能レベルI
  1 フォース・フィールド
  2 不可視化
  3 フェイザーとデス・スター
  4 テレポーテーション
  5 テレパシー
  6 念力
  7 ロボット
  8 地球外生命とUFO
  9 スターシップ
 10 反物質と反宇宙
PART2.不可能レベルII
 11 光より速く
 12 タイムトラベル
 13 並行宇宙
PART3.不可能レベルIII
 14 永久機関
 15 予知能力
終章 「不可能」の未来

なんともわくわくする見出しが並びます。
結構不可能レベルIが
多いのもいいですねぇ。

不可能レベルIとは、
既知の物理法則には
反していないテクノロジーで、
今世紀中に可能になるか、
あるいは来世紀に
いくらか形を変えて
可能になるかもしれない
そういうレベルとのことです。

不可能レベルIをながめてると、
何だかドラえもんって、
ほんとにいそうな気になりません?
そういえば、ドラえもんって
確か22世紀生まれですよね。
ほら、来世紀じゃないですかsign03

それにしても、
量子論ってすごい。
まさに次元を超えた発見だわ。

とまぁ、
個人的には量子論にやられましたが、
他にもこれ1冊読むだけで、
最近の宇宙論だとか、
物理学の歴史とか、
結構いろいろとわかりますよ。
そういう意味でもおすすめの一冊です。

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2009.03.09

セカンドウィンドII

セカンドウィンド〈2〉 (ピュアフル文庫)
川西 蘭
ジャイブ
売り上げランキング: 2505

ロードレースの醍醐味だけじゃなく、
これから先の男女関係にも要注意。

まぁ、いろんな意味で、
典型的な女性陣の登場が、
ある意味笑えますな。
著者の意図が見え見えで(^^;

個人的には、後藤君がいい。
まぁ、主人公の復活も、
こうでなくちゃ
続き読む気が失せますしね。

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2009.03.08

世界は感情で動く

世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
マッテオ・モッテルリーニ
紀伊國屋書店
売り上げランキング: 775

脳はだまされやすく、
すぐ楽な方へと流される。
なんていい奴なんだろー、脳(^^;。

あ、脳天気って、
そんなところから来てんのかなぁ。

アマゾンから詳細な目次を引っ張ってきました。

はじめに―「脳のトラップ」を知ろう

パート1 まずは心の準備体操

1.予言どおりに銀行は倒産した―予言の自己成就
2.つらい検査が快適になる方法―ピーク・エンドの法則
3.一ドル買うのにいくら払うか?―コンコルドの誤謬
4.「まだ半分もある」と「もう半分しかない」―フレーミング効果

パート2 あまりに人間的な脳

5.表が出たら私の勝ち、裏が出たらあなたの負け―基準値の誤り
6.「ホットハンド」の持ち主を探せ!―大数の法則
7.マリアの職業を当てなさい―代表性のマジック
8.偶然にも規則があるはずだ―偶然に秩序をみる
9.「タバコはがんの原因になります」―原因と結果の相関関係
10.指紋もDNAも確実ではない―確実性効果
11.ショッキング度で決まる重大事件―統計より感情
12.バーゲンセールの「からくり」―アンカリング効果
13.見えてはいても、見ていない―注意力の欠如 その1
14.バスケットのコートにゴリラがいた?―注意力の欠如 その2
15.「あらゆる病気と事故のための保険」―注意の焦点化効果 その1
16.宝くじが当たった直後は幸せだけど―注意の焦点化効果 その2

パート3 集団のなかでの困った判断

17.他人には辛く、自分には甘い―帰属のエラー
18.うぬぼれ屋の言い訳―自己奉仕的バイアス
19.「愚か者の親玉」はリッチになる―集団の知恵
20.占いはどうして当たるのか―バーナム効果
21.そう考えない人はどうかしている―フォールス・コンセンサス効果
22.みんながやっているから―群れ効果
23.イラク戦争はこうして始まった―集団思考
24.こっちの仲間はダントツだ―集団規範
25.あっちのひとはすべて凡人―他の集団への偏見
26.高いワインのほうがうまいわけ―ハロー効果
27.ペニスは一〇人中九人が平均より長い!?―自信過剰
28.強く願えば実現する―願望的思考
29.正しい病名の診断は「あとから」つく―後知恵
30.目撃者の証言は「作られる」―偽りの記憶
31.いらない枠を作ってしまう―無意識のいたずら
32.発言するのは最初がいい? それとも最後?―順序効果

パート4 いざ、決断のとき

33.ダイエットは明日からはじめよう―プランニングの誤り
34.リターンを考えすぎる人、リスクを考えすぎる人―欲深と尻すぼみ
35.都合のいいことだけを覚えている―明るい記憶
36.今のままがいちばんいい―現状維持
37.読みたいように読んでしまう―先入観のトラップ
38.サルにならって取引をする―損失回避性
39.「あの飛行機に乗ってさえいたら」―後悔の理論

もうね、なんというか、
ありとあらゆることは実験され、
理論化され、適当に名前がつけられ、
知られてるんだよねー。
それでも人はおんなじように、
だまさたり、思い込んだりしながら、
行動したりしなかったりする。

このいい加減な脳を持った人類が、
ここまで繁栄してきたというのは、
ある意味奇跡なのかもねー。

一つ、ちょっと心に響いたので。
すでに習得したことと
まだ習得していないことを識別する能力は、
教えて身につけさせなければならない。
なぜならこれは、いかなる個々の知識にも勝る、
どんなことの習得にも応用できる能力なのだから。

そう人は学ぶんだよね。
それが奇跡の素かもね。

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2009.03.06

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
北尾 トロ
文藝春秋
売り上げランキング: 57795

裁判員制度の
本当の狙いがわかる本かも。

思うに犯罪の抑止が
本当の目的なんじゃないかな、
裁判員制度って。

悲惨な犯罪現場の写真を見たり、
証拠物件としての凶器を見たりするより、
生の犯罪者を見たり聞いたりすることで、
そこに自分をおいてみることができる。
もし、あそこに自分がいたら…、
これは怖いわ、
と思わせるんだね、
この著者の書きっぷりが。
やっぱり、どっかこわれてる、
そんな思いを抱かさずにはいられない、
つーか。

それにしても、
美人度が高い、
それも知的な美人が、
というところには妙にそそられまする(^^;

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2009.03.02

詩羽のいる街

詩羽のいる街
詩羽のいる街
posted with amazlet at 09.03.02
山本 弘
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 98006

 ワラシベしてもいいですか?

人と人とをつなげることも、
一つの才能なんですねぇ。

「人に親切をする」ことを天職として、
お金に頼らず生きる女性「詩羽」と、
彼女が関わる人たちと場所を
描いたストーリー。

  人間は他人がいないとダメになる

助け合う、通じ合う、話し合う、
人はやはり一人じゃ、
生きていけないものなんですね。

最後もまた、
大きな輪っかを感じる、
そんな広々とした気持ちになりますよ。

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2009.03.01

火を熾す

火を熾す (柴田元幸翻訳叢書) (柴田元幸翻訳叢書―ジャック・ロンドン)
ジャック・ロンドン
スイッチ・パブリッシング
売り上げランキング: 7026

火を熾す|To Build a Fire
メキシコ人|The Mexican
水の子|The Water Baby
生の掟|The Law of Life
影と閃光|The Shadow and the Flash
戦争|War
一枚のステーキ|A Piece of Steak
世界が若かったとき|When the World Was Young
生への執着|Love of Life

全9編からなる短編集。
久しぶりに「男」の話でした。
一言で言えば、「野」かな。

「火を熾す」
表題作。超低温の怖さ。

「メキシコ人」
格好いいです。そして終盤の見事なボクシングシーン。
なんか漫画の原作みたい。
一番好きかも。

「水の子」
ハワイを思い出しました。

「生の掟」
『樅ノ木は残った』を思い出しました。
ディア・ハンターかも。

「影と閃光」
見えないことへのアプローチ。
ライバルにも程があるって。

「戦争」
あっけなくて、ありきたりな死。
え?で終わる。

「一枚のステーキ」
もう一つの「ロッキー」かも。

「世界が若かったとき」
文明と野生の混在。
それも一人の男の中で。

「生への執着」
 男は「食べる」という動詞に支配されていた

魂が震える一冊。
ちょっと大げさかも(^^;
でも良かったですよぉ(^^)

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2009.02.27

「ハンバーガーを待つ3分間」の値段

いろいろと気になるところの多い一冊でした。

ますはざっと目次をみてみよー。

1 名前のないもの
2 解釈する力
3 行列の科学
4 選択の基準
5 日常生活の中のエイリアン
6 人を動かす引力
7 正論の範囲

一番面白かったのは、
第5章かな。
ここでは、名前をつけるということの、
持つ意味を考えさせます。

例えば「携帯電話」。
あれをその原理ゆえに、
「無線機」と呼べば、
これほど普及したりはしなかった。
「電話」というすぐそばにある、
身近なメタファーとして、
衣をまとわせた。

いろんな見方、考え方が、
あるもんです。
3分といって待つ人もいれば、
待たずに去る人もいる。
その選択を相手にさせる。
つまりは、それが人の尊厳だと。

結局人間の尊厳というのは
自分の力で自分の未来を
選択していくことを言うのではないか

一方通行はないんですよね。

誰かの話を聞く、ということは、
その人と話しをすることと何も変わりません。

何だか気持ちがフラットになりました。

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2009.02.25

床下仙人

床下仙人 (祥伝社文庫)
原 宏一
祥伝社
売り上げランキング: 87240

一緒にいたいから結婚したのに、
その生活を維持するために、
一緒にいる時間がどんどん減っていく、
そんな矛盾を、
床下から侵入してくるものが
突きつけてきます。

サラリーマンの生態が
よく描かれていて、
その哀しみが、
なんか、笑いとともに、
切なく響くんですよねー。

それにしても、
よくこんなこと考え付くよなぁ、
ってのが実感です。
腹抱えて笑いながらも、
どっか冷え冷えとしてくるって
ところでしょうか。
でも最後は、ちょっと希望が?
という後味もいいっすよ。

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2009.02.23

「残業ゼロ」の仕事力

「残業ゼロ」の仕事力
吉越 浩一郎
日本能率協会マネジメントセンター
売り上げランキング: 1446

GNN(義理・人情・浪花節)はほどほどに、
TTP(徹底的にパクる)は恐れずに。

目次(アマゾンより)
  第1章 御社の残業がなくならない理由
  第2章 問題はとにかく「分けて」考える
  第3章 次に「会議」を変えていこう
  第4章 「続ける」ための考え方
  第5章 「速くて強い」チームの作り方
  第6章 「仕事の常識」はこれだけ変わった
  第7章 ほんとうのワークライフバランス

全体を通して、
何事もトップの覚悟が
大事ということがよくわかります。

これは、大企業でも、
中小企業でも、
そして究極には、
個人でも同じことがいえますね。
だって、自分のトップは自分でしょ。

それと、大いに参考になったのは、
問題を解決するときのこつですね。
第2章に出てきますが、

  問題というのは、
  単独で存在するように見えても、
  その実体は複数の小さな問題の集合

だったら、その問題を解決するには、
自分のサイズにあった問題になるまで、
ブレイクダウンしていけばいいんですね。

最後に、197ページのグラフ。
これいいですねー。
自分の現在過去未来を、
グラフ化してみて、
これからのこと、
考えてみましょうかね(^^;
まだ遅くないはずです。

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2009.02.22

セカンドウィンド

セカンドウィンド〈1〉 (ピュアフル文庫)
川西 蘭
ジャイブ
売り上げランキング: 20148

今自転車が熱いです。
ロードレースを描いた作品というと、
わたしの中では、
まず『シャカリキ』が来ます。

この作品も少年のビルドゥングスロマンの形を取ってます。
山深い田舎の村の少年、
ライバルの自転車エリートたち、
幼馴染の少女、
複雑な家庭環境と
いろいろと後々のお楽しみ満載というところです。

その中でこの第一巻で
一番印象的なのは、
回りの自然かな。

森の深さ、
さらにその奥にある巨木、
神秘的な池など、
主人公の喜怒哀楽を、
包み込み、あるときは厳しく、
あるときは癒しの場所として、
描かれてます。

これから、
どういう風に展開していくのか、
先が楽しみな小説です。

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2009.02.21

伝説のプロ野球選手に会いに行く

伝説のプロ野球選手に会いに行く
高橋 安幸
白夜書房
売り上げランキング: 127247

まず表紙がカッコイイ。
苅田久徳さん。
日本で最初のプロ野球選手。
まさに伝説ですねー。

そんな伝説の人10人に
会いに行ってインタビュー。
一番印象的だったのが、
中西太さん。
日本人ならではの、
その打撃理論は、ほんと科学的。
というか物理的!?
一つのことを極めたひとの理論は、
すべてに通じるというのは、あるよねー。

杉下さんの、「フォークはナックル科」
というのも実によかった。
高速無回転というと、
最近のサッカーのシュートでもあるけど、
キーパー正面でも取れないってやつ。
あんな感じだとすると、
サイズが小さい野球のボールだと、
ほぼ捉えるのは不可能だよねー。
まさに魔球です(^^;。

皆さんの中で、
イチローと松井の評価が高くて、
清原がも一つだったのは、
何だかわかる気がします。
柔らかさなのかなと。

わたしの年代だと
リアルで選手時代を知ってる人たちではないんだけど、
解説者だったり、いろんな形で、
知ってる人たちではあるんで、
実に楽しめました。

さて、今現役の選手の中で、
20年後、30年後に、
こうやって伝説として語られる選手、
果たして何人ぐらいいるのかなぁ。

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2009.02.20

アップルの人

アップルの人 (新潮文庫)
宮沢 章夫
新潮社 (2008-12-20)
売り上げランキング: 40765

何だか時間の無駄遣いって気が(^^;
とはいえ、そもそも読書そのものが、
究極の暇つぶしだと考えると、
まさにこれこそ読書のネ申かも(^^;

ってことを考えているうちに、
この「ネ申」ってのも、なんだかねぇ~。
一昔前で言うと、
「究極」とか「チョベリ」
何とかといってたりもしたような。
それがいまや「ネ申」。
日本には、八百万ほどいらっしゃるらしいけど、
そんなにいたらありがたみがないというか。

おっと全然関係ないほうに話が…。
あ、そろそろお後がよろしいようで(^^;

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2009.02.19

不全世界の創造手

不全世界の創造手(アーキテクト) (朝日ノベルズ)
小川 一水
朝日新聞出版
売り上げランキング: 15431

創造主ならぬ、創造「手」ってのがみそ。

ものづくりの天才少年と金儲けの天才少女が、
手を組んだ時、世界はどう変わるのか!?

自己増殖型ロボットと、
人の成長性を見抜く才能という、
アイディアが面白い。
特に、その自己増殖型ロボットによる
いろんなプロジェクトがいい感じ。

こつこつと変わるぐらいのスピード感が
いいのかもね。
そう、ちょうど歩くぐらいの。

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2009.02.15

この世でいちばん大事な「カネ」の話

  人が人であることをやめないために、人は働くんだよ。   働くことが、生きることなんだよ。

すべての図書館、
特に子供たちの通う学校の図書館には、
必ず置いておくべき一冊です。


  第1章 どん底で息をし、どん底で眠っていた。
       「カネ」がないってつまりはそういうことだった。
  第2章 自分で「カネ」を稼ぐということは、
       自由を手に入れるということだった。
  第3章 ギャンブル、為替、そして借金。
       「カネ」を失うことで見えてくるもの。
  第4章 自分探しの迷路は、「カネ」という
       視点を持てば、ぶっちぎれる。
  第5章 外に出て行くこと。
       「カネ」の向こう側へ行こうとすること。
  おわりに

書いてあることは、
身もふたもないことばかりです。
でも本当のことです。

それにしても、
波乱万丈という言葉は、
この人のためにある言葉だなぁ、
ってつくづく思いますわ。

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2009.02.14

4アウト

4アウト―ある障害者野球チームの挑戦
平山 讓
新潮社
売り上げランキング: 31706

各チームは、相手チームより多くの得点を記録して、勝つことを目的とする
〜『野球規則』第一条「試合の目的」

運動が苦手なわたしにとって、
唯一人並みに出来るスポーツが野球です。
勝ち負けにこだわることの出来る
唯一のスポーツかもしれません。

野球っていろんな関わり方ができる
スポーツなんですよね。
そりゃレギュラーとして
活躍できれば一番ですけど、
そうでなくても、足が速いから、
代走とか、判断力が優れているから、
3塁コーチとか、
勝つためにいろいろとやれる。

だからこそ、
一度はまるとやめられなくなる。
そんな想いは、
健常者であっても、
身障者であっても、
全く同じなんですね。

野球はただ一つのボールを、
投げて打って始まるスポーツです。
それは誰にとっても同じです。
ボールは誰にとっても
同じ速さで飛んでいき、
同じ強さで、向かってきます。
だからこそ、夢中になれるのかもしれません。

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2009.02.12

岡潔 数学の詩人

岡潔―数学の詩人 (岩波新書)
高瀬 正仁
岩波書店
売り上げランキング: 12324

問題Fが何だか解けそうな気がしてくる……のときが
既に至難である。問題Fだけはやはり解けそうもない
(当観無情)

今日解けたと歓喜するけど、
明日になれば解けるはずがないと絶望する、
そんな日々を繰り返す数学者という
存在はいつもわたしを惹きつけてやみません。

岡潔という数学者は寡聞にして、
初めて知りました。

専門的な部分は、
全くもって理解できませんでしたが、
精神的に不安定な時期と、
学問的に収穫のあった時期とが、
ごく近接していたという人生に、
驚きを禁じえません。
まさに天才なんでしょうねぇ。

途中、加古川(一時期住んでた)に
大いに惹かれたとか、
淡路鉄道(淡路に鉄道!?)の記述があり、
親近感を覚えたり、
びっくりしたりしたものの、
概してちょっと重苦しい
読書でしたね(^^;

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2009.02.11

新世界より

新世界より 下
新世界より 下
posted with amazlet at 09.02.11
貴志 祐介
講談社
売り上げランキング: 1247

「敵は内にあり」ですね。

上下巻あわせると、
1000ページを越す大ボリュームです。
でもそんなことを
全く感じさせない面白さです。

一旦滅亡の淵に瀕した
世界のその後(よくあるパターンですね)、
呪力を持った人類によって、
世界の各地で小さなコロニーが、
それぞれ運営されています。

そういうコロニーの一つに生まれた
仲良し5人組の物語です。

呪力を持つが故の
人類に課せられたストッパー、
そこから生まれる恐るべき存在、
「悪鬼」と「業魔」、
そして数々のけったいな生き物、
これらのその世界の過剰なまでの抑制と
その反動ともいうべきものたちが、
実に印象的です。

最後はそのけったいな生き物の一つにまつわる
衝撃的な秘密が明らかになるんですが、
それは読んでのお楽しみ。

ドボルザーク「新世界より」の「家路」、
下校時によく聞いたもんですが、
そのなにやら物悲しい感じが、
読み終わった後、心にしみます。

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2009.02.10

建築史的モンダイ

建築史的モンダイ (ちくま新書)
藤森 照信
筑摩書房
売り上げランキング: 3753

さすがは建築探偵団、
調査ならぬ捜査の基本、
「現場がすべて」を
地で行く凄みとでもいいましょうか、
ならではの作ですね。

さて目次です。


 1 建築とは何だ??(建築と住まいの違いとは?
  住まいの原型を考える ほか)
 2 和洋の深い溝(和と洋、建築スタイルの根本的違い
  教会は丸いのだ ほか)
 3 ニッポンの建築(日本のモクゾウ
  焼いて作る!?建築 ほか)
 4 発明と工夫(ローマ人の偉大な発明
  ガラスは「石」でありえるか? ほか)

中でも面白かったのが、
お城の話。
何であれほど目立つのか。
それは、

 高くそびえるくせに白く塗られている

からだとか。

他にも茶室と四畳半の話とか、
興味が尽きませぬ。

そもそもそれ相応の理由があっての
建築でしょうけど、
じゃ一体、建築の発祥って?
探偵の名推理を
お楽しみあれ。

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2009.02.08

ハーモニー

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
伊藤 計劃
早川書房
売り上げランキング: 3755

和の国・日本ならではの一作。

和洋折衷、
和魂洋才、
和室に、
和をもって貴しとなす。

和は日本の象徴って気がします。
そして、ハーモニーは調和。

そんな和にとって一番大事なのは、
我慢じゃないかな。
少しずつ自分をあきらめる、
降り積もる不満、
それが臨界点を超えるとき、
何が起こるかを身をもって知った
世界の目指す先に、
なにがあるか。
それがこの話のテーマだと思います。

我慢しなくてもいい世界、
それは全体と一つになること、
何も選ばない、
何も主張しない、
何も起こらない。

それを幸せと呼ぶかどうかは、
アナタ次第。

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2009.02.07

覇者と覇者

覇者と覇者  歓喜、慙愧、紙吹雪
打海 文三
角川グループパブリッシング
売り上げランキング: 8688

上巻六章、下巻三章。
これがすべてです。

内乱の日本が、
何とかかんとか、
それに終止符を打ちかけてます。

まだまだ難しい局面が多々あるでしょう。
でも、それでも孤児たちは、
それを切り抜けていくでしょう。
そして、その後に待つ安らぎや、
ぬくもりに身を浸しながら、
希望へと歩き出す、
そういう未来が描かれていたに違いない、
今となっては、そう願うだけです。

「お前が罪を犯すなら、
わたしも罪を犯そう」
パンプキンガールズのモットーです。
ぎりぎりの状態での連帯、
苦しい状況でこその団結、
これが戦いを生き抜いてきた
彼らの強さだったように思います。

戦いのその後の平和、
そしてその平和を後に残すための
新たな戦い。
そうやっていのちを続かせる、
人はおろかでどうしようもないけど、
そうやって進むしかないのかな、
いつか止まるまで。

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2009.02.05

経済ってそういうことだったのか会議

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)
佐藤 雅彦 竹中 平蔵
日本経済新聞社
売り上げランキング: 202

やっぱり対談ものって、
わかりやすいですねー。
といっても、
対談する二人にもよるんでしょうけど。

----------------------------------------------
- 第1章 お金の正体―貨幣と信用
- 第2章 経済のあやしい主役―株の話
- 第3章 払うのか取られるのか―税金の話
- 第4章 なにがアメリカをそうさせる―アメリカ経済
- 第5章 お金が国境をなくす―円・ドル・ユーロ
- 第6章 強いアジア、弱いアジア―アジア経済の裏表
- 第7章 いまを取るか、未来を取るか―投資と消費
- 第8章 お金儲けはクリエイティブな仕事―起業とビジネス
- 第9章 人間とは「労働力」なのか―労働と失業
- 終章 競争か共存か
----------------------------------------------

”共同体のあり方”、
これが経済学のもともとの意味らしいんですね。
そこからはじめると、
税金のあり方とか、
投資のこととか、
労働のこととかが、
結構ぐっとひきつけられて見える
というか、ポンッと、
膝を叩きたくなったりします。

アメリカには、
「ニューワールド」
「フロンティア」
「多様性」
という3つの概念が
欠かせないってのも、
うんとうなずかせますね。

最後に竹中語録からいくつか。

----------------------------------
- 自らをリスクの中に置くことによって初めて
- 自分たちの社会が変われる
----------------------------------

----------------------------------
- どれだけの資本が
- 消費をあきらめることによって
- 投資されたか
----------------------------------

----------------------------------
- ひょっとしたら失敗するかもしれないけど、
- 成功すれば大儲けができる。
- いずれにせよ結果については
- 自分が責任を負う。
- つまり民間の自己責任において
- やってるところが資本主義なんです。
----------------------------------

----------------------------------
- リスクを取らないと
- リターンは上がらない。
- それが成熟したマーケットだ。
----------------------------------
----------------------------------
- 経済学者の仕事が終わったときに、
- 実は本当の人間の問題が始まる。
- (ケインズ)
----------------------------------
----------------------------------
- 経済学は人間を「労働力」と見てる
----------------------------------

----------------------------------
- 失業をなくす、
- それが政府の最終的な目的なんです。
----------------------------------

最後の言葉なんて、
今こそ声を大にして、
訴えて欲しいもんですね。

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2009.02.04

信頼の構造

信頼の構造―こころと社会の進化ゲーム
山岸 俊男
東京大学出版会
売り上げランキング: 11616

思った以上に学術書でした。
って、出版社からしたら、
あたりまえかcoldsweats01

えーと、目次はこちら。
---------------------------------------
- 1章 信頼のパラドックス
- 2章 信頼概念の整理
- 3章 信頼の「解き放ち」理論
- 4章 安心の日本、信頼のアメリカ
- 5章 信頼とコミットメント関係の形成
- 6章 社会的知性としての信頼
- 終章 開かれた社会の基盤を求めて
---------------------------------------

仮説→実験→検証→条件変えてまた実験…
の繰り返しです。
そうやって、
------------------------------------------
- 集団主義社会は安心を生み出すが信頼を破壊する
------------------------------------------
というメッセージを明らかにしていきます。

印象的だったのは、
「安心」と「信頼」の違いについてです。
今までは何とか「安心」でやっていけた、
でも今やネットワークの広がりと
そのスピードによって、
「安心」ではたちゆかなくなっている、
そこで「信頼」が大事なんだ、と。
-----------------------------------
- 人間の心を理解するためには、
- 心そのものの内側から出発するのではなく、
- 心のおかれた環境から出発する必要がある
-----------------------------------

でもゴールは、
心そのものの中のような気がします。

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2009.02.02

絶対帰還。

絶対帰還。
絶対帰還。
posted with amazlet at 09.02.01
クリス・ジョーンズ
光文社
売り上げランキング: 32103
宇宙には人の感情を増幅する 何らかの力が存在するということだ。

大気圏突入後爆発した
あのコロンビア号の事故の裏で、
宇宙に取り残された
3人の宇宙飛行士の物語です。
----------------------------------
- 第1章 単純な機械
- 第2章 向こうの世界
- 第3章 孤独の地形
- 第4章 時間と距離
- 第5章 あなたは遠く
- 第6章 孤独のいちばんいいところ
- 第7章 地球照
- 第8章 細い糸
- 第9章 管制センター
- 第10章 問題発生
- 第11章 世界の重さ
----------------------------------

彼らにとっては、
「Home」は、
地球であり、
また、宇宙でもあるんでしょうね。

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2009.01.29

地球と一緒に頭も冷やせ!

地球と一緒に頭も冷やせ! 温暖化問題を問い直す
ビョルン・ロンボルグ
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 32779

この著者名、わたしの世代には、
あるテニスの名プレイヤーを思い出させますねcoldsweats01
ま、こんなことは、内容には全く関係ないんですけどね。

まず、アマゾンから目次をぱくってきましょう。

第1章 ホッキョクグマは警告のカナリヤだろうか?(論争の縮図―ホッキョクグマの絶滅
議論をまとめると)
第2章 熱を帯びて―手短に説明すると(地球温暖化―基本
地球温暖化―気温の上昇 ほか)
第3章 地球温暖化―主な心配事(長い歴史―CO2と温度
最近の歴史―CO2、温度、氷河 ほか)
第4章 地球温暖化をとりまく政治(気候のつまみで何ができるの?
むしろやるべきこと―研究開発を増やそう ほか)
結び 最優先事項をやるのがクールだ!(そろそろまともな対話が必要だ
予防原則はどっち側にも当てはまる ほか)

アル・ゴアと京都議定書、
地球環境にとっては、
二大救世主とも言うべき存在を、
まずは引きずりおろします。

決して全否定するわけじゃありません。
もっと他にやることあるだろ、
都合の悪いこともちゃんと言えよ、
ま、そういうことです。

この人の武器は、経済学の手法、
わかりやすくいうと、
コストパフォーマンスですね、
それを駆使します。

経済といえば、
ちょっと前にある雑誌で、
サブプライムローンに端を発する
今回の金融危機の次に、
怪しいのは、「エコ」だという
論説を読んだのを思い出します。

内容は、一番最後の、
訳者あとがきが一番よくまとまっていて、
わかりやすいと思います。

どこからどうみても「正論」に、
ちょっと待ってよ、と、
正面切って声を上げることって、
ほんと、大変なことだと思います。
でも誰かが声を上げることによって、
「頭を冷やす」効果があるんなら、
それこそ、「地球に優しい」のかもしれません。

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2009.01.25

ある日、アヒルバス

ある日、アヒルバス
ある日、アヒルバス
posted with amazlet at 09.01.25
山本 幸久
実業之日本社
売り上げランキング: 89241

安心の面白さhappy01

舞台は東京は月島にあるバス会社。
そこのバスガイドさんの奮闘記。

東京に来てから半年が過ぎました。
でも、名所にはほとんど行ってません。
住んでる浅草は別としてねcoldsweats01

前から思ってるんだけど、
手っ取り早く名所行くんなら、
バスツアーってのはいいんじゃないのかなぁって。

で、これ読んでその思いはますます強くなりました。

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2009.01.24

赤めだか

赤めだか
赤めだか
posted with amazlet at 09.01.24
立川 談春
扶桑社
売り上げランキング: 222

最後の最後で涙が止まりません。
談志と小さんの話です。
本自体は、弟子の談春さんの話なんですけど、
そこまでの諸々があってこそ、
この最後、やっぱりいいですわ。

途中、いろんな言葉が出てきます。
「(略)よく芸は盗むものだと云うがあれば嘘だ。
盗むほうにもキャリアが必要なんだ。
最初は俺が教えたとおり覚えればいい。
盗めるようになりゃ一人前だ。
時間がかかるんだ。
教える方に論理がないからそういういい加減なことを云うんだ。
いいか、落語を語るにはリズムとメロディだ。
それが基本だ」
初めてかもしれません、
落語にメロディがあると知ったのは。

「型ができていないものが芝居をすると型なしになる。
型がしっかりしたやつがオリジナリティを押し出せば
型破りになれる」
これほど見事な型なしと型破りの定義も初めてです。

相手の進歩に合わせながら教える。
教えることの真髄ですね。

「どの道人間生きていくためには、
苦労、辛抱はつきものだが、
我慢できる苦労とできない苦労がある。
同じ苦労なら我慢できる苦労を選びなさいってことだ」

そして談志さんの語った言葉で、
一番だと思ったのが、
「己が努力、行動を起こさずに
対象となる人間の弱みを
口であげつらって、
自分のレベルまで下げる行為、
これを嫉妬と云うんです。
一緒になって同意してくれる仲間がいれば
更に自分は安定する。
本来なら相手に並び、
抜くための行動、
生活を送ればそれで解決するんだ。
しかし人間はなかなかそれが出来ない。
嫉妬している方が楽だからな。
芸人なんぞそういう輩の固まりみたいなもんだ。
だがそんなことで状況は何も変わらない。
よく覚えとけ。
現実は正解なんだ。
時代が悪いの、
世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。
現実は事実だ。
そして現状を理解、分析してみろ。
そこにはきっと、
何故そうなったかという原因があるんだ。
現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。
その行動を起こせないやつを俺の基準で馬鹿と云う」

作者は博打好きです。
「博打の才能とはいくら儲けたかではなく、
いくら買えたかだ」だそうです。

また、談志師匠は、今の落語ブームを既にして、
こう予見していました。
「落語はもはや伝統ではありません。
個人です。
演者そのものを
観に来る時代になっているのです」

そして、弟子は師匠を、
「揺らぐ人」と一言で言ってのけます。
そりゃいろんな思いがあるでしょう、
それでも本質は「揺らぐ」、
そう見たんでしょう。
他に誰がそんなこと言えますかね。

あぁ、実は談志師匠でも談春さんでも
ない人の言葉でいいのがありました。
「人生で勝ち逃げ、只もらいは
絶対に存在しません。
負ける時はみんなで負ける。
ただし勝ちに回ったときに
他人より多く勝つ。
その差ですね。分かれ目は。」
これって今の人切り盛んな不況にも通じますよね。
みんな負けてるときには一緒に負けましょう、
人切るんじゃなくて、
その分みんなでちょっとずつ負けて、
ぐっと耐えましょう。
そして上向きになってから、
己の才覚でちょっと勝つ、
それでいいんじゃないでしょうか。

叫びと愛情にあふれた、
そんな一冊でした。

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2009.01.18

僕の見た「大日本帝国」

僕の見た「大日本帝国」
西牟田靖
情報センター出版局
売り上げランキング: 87391

かなり前に一度ここでも取り上げたことがあります。
その時は読んでみたい本として。
そして今ようやく読み終わりました。

今になって読んでみようと思ったきっかけは、
読みたい本として取り上げた時と同じ
『本の雑誌』でした。

エンタメノンフの紹介記事の中に、
徹底的に自分で見たこと、
聞いたことしか、
書かないというようなトーンで、
紹介されていました。

第二次大戦期の「大日本帝国」の版図の今に、
日本の足跡を探す旅に出た著者の旅行記です。

 第1章 ロシアの鳥居―サハリン篇
 第2章 山の中の敬礼―台湾篇
 第3章 交差する感情―韓国篇
 第4章 消せなかった橋―北朝鮮篇
 第5章 見せしめの記念碑―中国東北部篇
 第6章 十字架と鳥居―ミクロネシア篇

北はサハリンから南は、ミクロネシアのサイパンまで。
実に広大な範囲に及んでます。

一つの象徴として神社の鳥居がいろいろと出てきます。
思わずその種類にもいろいろあるんだなぁということも、
知ることが出来ました。

それにしても日本人って、
侵略者、征服者としては、
上等な部類かもって思ったりしました。
侵略者や征服者に上等もへったくれも
あるかとは思うのですけどね。

それは、そこに暮らす日本人のためとはいえ、
生活に必要なインフラ整備をきちんとやるってところ。
このへん、まめというかきちんとしてるというか。
後でやって北アメリカや旧ソ連なんかと比べると、
余計にね。

で、思ったんだけど、
それをするということは、
それを必要とするぐらいの、
人口がいたということだよね。
軍隊だけじゃなくて、
その周辺に普通の暮らしをする人たちが。
そこに日本人の結構な逞しさを見る思いがしてます。
こんなちっぽけなアジアの島国が、
世界経済の3極の一つとして、
今存在するのも、このあたりなのかな、
そう思ったりしました。

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2009.01.13

TOKYO0円ハウス0円生活

TOKYO 0円ハウス0円生活
TOKYO 0円ハウス0円生活
posted with amazlet at 09.01.12
坂口 恭平
大和書房
売り上げランキング: 112271

まずは目次です。

第1章 総工費0円の家
第2章 0円生活の方法
第3章 ブルーの民家
第4章 建築しない建築
第5章 路上の家の調査
第6章 理想の家の探求

0円ハウス、0円生活は、
今風に言うと、究極のエコライフでしょうね。
懐にも優しいし、もちろん地球にも優しい。

身の丈ということをとても感じました。
身の丈に応じた住居、
身の丈に応じた暮らし。
それでいて、その身は、
自由で何ものにも縛られたりしない。

だから人が変化するなら、
住む家も変化していくのが当たり前。
住む家に人が合わせるんじゃない、
人に合わせてちょっとずつ家を変えていく、
自分に合わせていく。

いろんなことに捉われない、
縛られない、
そんな魂の自由がここにはある、
そんな気がしました。
何だかとても爽やかな読み心地でしたね。

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2008.12.29

ばかもの

ばかもの
ばかもの
posted with amazlet at 08.12.28
絲山 秋子
新潮社
売り上げランキング: 16881

最後に彼が言う「ばかもの」。
「あんたもな」と突っ込むワタシです。

アルコール依存症の様子が描かれています。
引きずり込まれます。ほんと怖いです。

でもこんなばかものが、愛される。
愛というと少し違うって気もするけど、
でもそばに女性がいる、いてくれる。

こういうのを読むといつも思うのは、
真っ当にまじめに生きているのに、
そばに女がいない、なんなんだ、それは。
そう思いながら読んでいる男たちって、
多いだろうなぁということ。
多分ワタシもその一人でしょう。

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2008.12.28

雌と雄のある世界

雌と雄のある世界 (集英社新書 (0465)) (集英社新書)
三井 恵津子
集英社
売り上げランキング: 11843

生き残るための多様性。
それが雌と雄がある理由なのかもしれない。
でも本当のところはまだまだわからないことが、
とても多いし、それがまた面白いのだと著者。

目次。

第1章 個体は細胞の集合―細胞なくして個体なし
第2章 まったく異なる役割をもつ二種類の細胞―生き続けるか死ぬか、それが問題だ
第3章 細胞分裂の仕方にも二種類―そこで雌と雄に分かれる
第4章 すべてのもとは一つの細胞―一つが最後は六〇兆になってしまう
第5章 雌と雄は、どのようにして出来るのか―遺伝子と環境の絡み合いから
第6章 環境に左右される性―雌と雄が入替わることさえある
第7章 クローン動物―雌と雄がそろう必要を教えた
第8章 植物は植物―生殖細胞はなかなか出来ない
第9章 細胞分裂の制御―テロメアの存在が鍵?
第10章 細胞の死と個体の死―死は必然と言えるか

宇宙はエントロピー増大の法則により、
滅亡に向かって進んでいってます。
同じように命もまた、その多様性を増やすように、
自らを分化していきます。
多様性が増えること、自由度が増すことを、
エントロピーの増大というなら、
命もまた滅亡へと進んでいるといえる、
そう言えるのかもしれません。

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2008.12.27

今年のベスト3

1,2,3であほになりましょうかね(^^;

ってことで、今年読んだ本(このブログに書いたのは109冊)
の中の私的ベスト3です。といっても順不同ですが。

①和田竜二『のぼうの城
 時代小説の世界での和田竜二の登場は、
 隆慶一郎の登場に匹敵するかも。

②梅田望夫『ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
 梅田さんの著書はどれも私の心の羅針盤なんですが、
 その中でも、梅田さんの哲学を一番感じるこの一冊にしました。

③山田雅夫『スケッチは3分 (光文社新書)
 やっぱりこの本を読んですぐ描いたスケッチの出来には、
 我ながら衝撃でした(^^;
 

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2008.12.26

渋谷に里帰り/カイシャデイズ

渋谷に里帰り
渋谷に里帰り
posted with amazlet at 08.12.23
山本 幸久
日本放送出版協会
売り上げランキング: 285724
カイシャデイズ
カイシャデイズ
posted with amazlet at 08.12.23
山本 幸久
文藝春秋
売り上げランキング: 37901

一日に山本幸久氏を2冊読みました。
いや~、仕事っていいですねぇ。

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2008.12.25

はじめての課長の教科書

はじめての課長の教科書
酒井穣
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 298

半年前までラインの課長職でした。
今は部下のいない課長職です。
課長としての醍醐味の半分ない状態です。
部下がいてこその課長と思います。

さて、こういう本は目次を読めば大半OKです。

はじめに
第1章 課長とは何か(課長になると何が変わる?
課長と部長は何が違う?
課長と経営者は何が違う? ほか)
第2章 課長の8つの基本スキル(部下を守り安心させる
部下をほめ方向性を明確に伝える
部下を叱り変化をうながす ほか)
第3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム(企業の成長を阻害する予算管理
部下のモチベーションを下げかねない人事評価
限られたポストと予算をめぐる社内政治)
第4章 避けることができない9つの問題(問題社員が現れる
部下が「会社を辞める」と言い出す
心の病にかかる部下が現れる ほか)
第5章 課長のキャリア戦略(自らの弱点を知る
英語力を身につける
緩い人的ネットワークを幅広く形成する ほか)
あとがき
参考文献

仕事はチームプレイ。そのキーマンが課長。これがベースの考えかと。

あとは、メモ。気に入った部分の抜粋です。

●課長はマネジメント寄り、経営者はリーダーシップ寄り

●ボトムアップでもなくトップダウンでもない、ミドルアップダウン。

●例外への対応こそが役職の権威の正当化

●動き回る管理職(MBWA)

●87P ストレスのグラフ

●コーチングの本質は、「問題の答えはその人の中にあり、
 それを引き出す技術が「質問」」である。

●クローズドクエスチョン(YES/NO)とオープンクエスチョン(フリー)。
 基本は、オープンクエスチョン。

●「わたしたちは結局何をすべきか?
 世の中を知り、それを軽蔑しないことだ」(ゲーテ)

●政治とは、①権力に関係し、
 ②利害対立の中で、自分の有利になるようにすることを目的とする。

●キーマンとは、非公式に影響力を発揮する人のこと。

●最後は自らの常識と良心に従う

●収益の質を問う態度が肝心

●「本物」とは、無私に優れた仕事をする者のこと。
 そして本物をこそ昇進させる。

●権威付けも大事

●「ビジネスの世界はすべて二種類のコインで支払われる。
 現金と経験である。経験が先で現金は後からついてくる。」
 (ハロルド・S・ジェニーン(AT&T元会長))

●リーダーシップの本質とは、「この人と一緒に仕事をしたい」と思われること

●自らの弱点を知る。負けパターンを知る。

●自分の理解を過大評価しない。

●英語はビジネスツール。毎日一定時間の地道なトレーニングが大事。

●強い絆と弱い絆。弱い絆も侮れない。大事にすべし。

●課長止まりのキャリアを覚悟する。

●失業準備金。2年職なしで生活できる程度。大体1000万が目安か。

●「最も強いものが生き残るのではなく、
 最も賢いものが生き延びるのでもない。
 唯一生き残るのは変化できるものである」(ダーウィン)

●想像力とは、高度に圧縮された情報を解凍し、生き生きと再生する力

以上。

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2008.12.24

出星前夜

出星前夜
出星前夜
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飯嶋 和一
小学館
売り上げランキング: 4001

寡作なお人です。
でも出したら必ず心を捉えます。
今回もまた鷲摑みされました。

島原の乱です。
キリシタン天草四郎時貞です。
思い出すのは、
山田風太郎『魔界転生』だったりします。

当然天草四郎も出てきます。
ただ宗教的なシンボルとしてです。

実際には、松倉家の無茶苦茶な政治に翻弄された
島原半島の住民たちの、
止むに止まれぬ、そして最後には、
心の奥底にしまっていたキリシタンとして、
いや、人として生きて死んでいく物語です。

冷静でありかつ熱き血潮の男たちが、
今回もまた多数出てきます。
名医・外崎恵舟、長崎代官・末次平左衛門、
南目庄屋甚右衛門(鬼塚監物)、
そして、最初彼が天草四郎かと思った寿安。

島原の民たちは、最後次々と殉じていきます。
その中で、救いは寿安でした。
生きて生かす。
それこそが、光であり、
御心に沿った道だったのかもしれません。

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2008.12.22

阪急電車

阪急電車
阪急電車
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有川 浩
幻冬舎
売り上げランキング: 4159

あの小豆色の電車にはお世話になってきました。
学生時代も、社会人になっても。
神戸を東西に走る鉄道の中では、
最も北を走る電車でした。
南から阪神、JR、そして阪急。
北に行くにつれて品があがるなんてことも、
言われたりしてます(^^;。
ま、阪神沿線で育った私には、
なんともいえませんがね。

お話は、そんな阪急の中でも、
ちょっと毛色の変わった路線である今津線の駅を、
章に見立てた連作です。

中でも印象的だったのは、女性陣。
特に、ショウコ→ミサ→翔子→時江さん と、
成長していくかのような登場人物の配置の妙は、うまいです。

いずれにしろ、上品とはいえ、そこは関西。
笑える要素は満載です。

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2008.11.20

忍びの国

忍びの国
忍びの国
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和田 竜
新潮社
売り上げランキング: 1736

愛する女が自らの最期に聞いたのは、
愛する男の真の名前でした。
「ねぇんだよ」その忍びに名前はありませんでした。
あるのは道具としての呼び名だけ。
「無門」その男に入れぬ場所などない、
門などあってなきが如し。
そううたわれた凄腕の忍びです。

伊賀と織田の次男信雄率いる伊勢の軍勢との戦いです。
武者と忍びの戦です。
真っ当に行けば、忍びなどひとたまりもありません。
ただ戦う前からの駆け引きもまた忍びの術の一つです。
勝利を確かなものにしかけます。
それをただ一人の武者の参戦が揺るがします。

しかし忍びもまた一枚岩ではありません。
忍びの術の基本は欺くことです。
ですから彼らの間に信はありません。
信ずるは金のみ。
自らの腕は金でのみ評価されるのです。
一度は裏切った彼らを、
戦の場に戻したのもやはり金でした。
賞金首というやつですね。

無門の術を描くとき、
それは人間業ではありえないんですけど、
それでも人間がそれを操っている、
そんな感じがひしひしと伝わります。

いつかまた無門に会いたい、
その活躍を読みたいものです。

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2008.11.14

中国臓器市場

中国臓器市場
中国臓器市場
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城山 英巳
新潮社
売り上げランキング: 39129

この本の話には続きがあったようです。
それが先ごろ新聞の一面にも出た記事なんでしょうね。
まさにその記事にも名前が出てきた人が、
真っ先に取り上げられています。

命か倫理か?
こういう問題って、
自分との関係性でいかようにも変わります。
赤の他人なら、倫理に傾き、
知り合いや家族になると、命に変わる。

確かに中国での移植には問題が多いのかもしれません。
死刑囚の件もそうでしょう。
金がらみの問題も多そうです。
でも日本にそれを非難する資格はない気がします。

この本は主に移植を取り上げてますけど、
それ以外でも、日本の医療は、今まさにいろんな面で、
正念場に立っている、そんな気がします。
何か根本的なところを変えないと、
最終的には移植の問題も、
何も解決しないんじゃないかな、と。

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2008.11.08

シャドー81

シャドー81 (新潮文庫)
シャドー81 (新潮文庫)
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ルシアン・ネイハム 中野 圭二
新潮社
売り上げランキング: 136566

空飛ぶ密室完全犯罪達成!
という帯がつくかも知れませんね。

完全犯罪って、起こす側だけじゃなく、
変な言い方やけど、被害にあう方も完璧じゃないと、
成り立たないんだなぁ、って思いました。

一番の見所の場面では、
犯人の戦闘機パイロット、
ハイジャックされたジャンボ旅客機のパイロット、
空港管制官、空のプロフェッショナル3人の、
見事な連携が描かれてます。
3人が3人とも自分の仕事を完璧にこなしたからこそ、
それぞれが願う結末になった、
それが犯人には完全犯罪に、
あとの二人には、乗客の無事という結果です。

あと印象的だったのが、
犯人たちの徹底した痕跡の消し方。
着ていた服はもちろん、使った道具や、
そこまで乗ってきた乗り物
(まぁ今回の場合これが一番足つきやすいんだけどね)も、
すべて破壊する徹底ぶり。

20年以上前に出版された作品ですが、
今でも十分に面白いです。
81は伊達じゃねー、って感じですね(^^)

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2008.11.04

夫婦一年生

夫婦一年生 (shogakukan paperbacks)
朝倉 かすみ
小学館
売り上げランキング: 23457

幸せもいいけど、仕合せってのもいいもんですね。
なんか、身の丈にあったぴったり来るって感じが、
ぬくもりを感じます。

お互いに三十路を過ぎて結婚した二人の、
北海道での新婚生活のひとコマです。
何気なく、さりげない日常です。
誰にでも起こることばかりです。
それでも二人には、初めてのことなんですよね。
二人というだけでね。

北海道の冬は早いです。
昨日妻とけんかしました。
今日仕事場でも元気が出ません。
まだ怒ってるかなぁ、と。
家路もちょっと気が重いです。
俯きながら歩きます。
もうすぐ家です。
エレベータを降ります。
マンションのドアが見えてきます。
なにやら張ってます。
「おでん、始めました」
もう最高ですね、この頑固女将は(^^)/

それと、カモンナ・マイ・アウス。
夫の両親が新婚我が家に泊まりに来ます。
明日帰るという日の夜です。
みんなで風呂上りにトランプをします。
一番負けた奥様は罰ゲームです。
隠し事を一つ白状しなければなりません。
「一発かまそうと思ってました」
そこからみんな挙手をして次々と…。
この展開がぐっと来ます。

こっから先いろいろあるんでしょうけど、
お仕合せに、ね。

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2008.11.03

スケッチは3分

スケッチは3分 (光文社新書)
山田 雅夫
光文社
売り上げランキング: 3870

わたしに一番ないのが絵心だと思ってました。
この本を読んで直線と真四角と丸を描く練習をします。
最初に目の前のノートパソコンを書きます。
するとどうでしょう。
ノートパソコンだとわかるスケッチができています。
人生初です。

 第1章 スケッチの威力
 第2章 線と円を使いこなす
 第3章 視点の置き方
 第4章 アイテムはこう使う
 第5章 描写には手順・法則がある
 第6章 モノを描く
 第7章 ひとを描く
 第8章 風景を描く

何を描いて何を省くか。
どこを二重に描くか。
どこを塗るか。
その辺でしょうか、コツは。
なんて、ちょっと偉そうに書いてみました(^^;

ま、とにかく描いてみたくなります。
読めば必ずね。

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2008.11.02

上を向いて歩こう

上を向いて歩こう
上を向いて歩こう
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ヒキタ クニオ
講談社
売り上げランキング: 208097

割と好きな作家さんです。
裏と表の境目を生きる人たちを描かせると、
うまい人、そう思います。
この連作集も、そういう人が営む
神楽坂の湯屋『花鳥風月』が舞台です。
名前もいいですね。
鮮やかな色と陰、裏と表、
そういう感じがよく出ています。

ちょっとした冒頭のエッセイ含めて、
全部で以下の九篇。

序 オヤジバナシ
小指のおもひで
霧島先生
炭酸人形
おやじ太鼓
一通大臣
鬼やんま
沖縄イズ・フリーダム
上を向いて歩こう

一番好きなのは、「鬼やんま」ですかね。
昔気質の男の侘しさや悲しさだけでなく、
その色気というか風情というか、
そういったものを強く感じました。
他にも「上を向いて歩こう」も、
湯屋の主人・桐山の魅力の素を、
しっかりと解き明かしてくれます。

人生の中で暮れ行く男たちの姿を、
愛おしく描いている、そんな作品集です。

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2008.10.30

天空への回廊

天空への回廊 (光文社文庫)
笹本 稜平
光文社
売り上げランキング: 19580

手に汗握るもすぐに凍りついてしまうような極地での冒険譚です。
久々の600ページ超のボリューム、読み終わっただけで、
達成感がありますね、このボリュームだと(^^;

大自然は人の善悪なんか関係ないですね。
等しく厳しく等しく優しい。
読んでいて痛感します。

話は、エベレストの頂上付近で繰り広げられる、
冷戦の遺物とも言うべき落し物をめぐる、
極地での謀略物なんですが、
そこに、登山というある種特殊な分野が関わってきます。

細部までよく調べられてかかれてるなぁと思います。
それだけに後半部分の奇跡の連続には、
ちょっと都合よすぎる気もしますが、
読後感は悪くありません。
やっぱり最後は希望が残って欲しい、
パンドラの箱症候群とでも言いましょうか(^^;

とりあえずこれからの季節にはおすすめです。
ってあんまり季節関係ねーかな(^^;

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2008.10.26

老人と宇宙

老人と宇宙 (ハヤカワ文庫 SF ス 17-1)
ジョン・スコルジー
早川書房
売り上げランキング: 48729

不老不死にしても、若返りにしても、
肉体つまり入れものというハードの面だよねー。
中身はそのまんま、これが大前提。
理由は簡単で、そうでないと、もう人じゃなくなるから。
つまりは人は記憶なんだと。

この話に出てくる老人たちが、
コロニー軍の兵士として生まれ変わる時も、
それ専用にカスタマイズされた新品の肉体に、
自分自身のソフトウェアである「意識」「記憶」を、
インストールする、そんな感じでしたね。

最後の方の展開は結構感動的でした。
特殊部隊で出会った彼女の秘密、
そして最愛の人との「新たな再会」。
やっぱり愛は記憶なんですかねー。

シリーズものということで、続きもまた読むぞー。

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2008.10.25

ハローサマー、グッドバイ

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫 コ 4-1)
マイクル・コーニイ
河出書房新社
売り上げランキング: 3460

ちょっと忙しかったですかね、この1週間ほど。
やはりトラブルがあると、簡単に1週間くらいは、
その影響があり、生活のリズムが崩れます。
リズムと言うほどたいしたもんじゃありませんが、
読書量が減ったり、こうやってブログの間が開いたりと、
衣食住以外の時間に影響が出ます。

ってことで、久しぶりにSF小説です。
でも、SF前面じゃありません。
ボーイズ・ミーツ・ガール、青春小説です。

主人公の男の子は、政府高官の息子で、
いわゆる上流社会の子です。
女の子の方は、主人公一家の別荘地のある地方の、
酒場の娘です。
典型的な避暑地の一夏の恋の物語の結構です。
背景に戦争が加わります。
階級対立もあります。
政治的な動きもあります。
そして世界の滅亡も絡んできます。

印象的なのは、ロリンという生物。
いくつかの危機的な状況で現れては、
主人公たちを救います。
こういう生き物がいるなら、世界も捨てたもんじゃないですね。

最後の缶詰工場での、
主人公の男の子と女の子が、
主人公の父親のせいで、フェンスのこっちと向こうに、
引き裂かれます。

ブラウンアイズはフェンスの外側にいて、ぼくは内側にいた。
ぼくたちのうちのひとりは、囚人だった。
最後に囚人は脱走します。
希望に向かって。

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2008.10.12

クリスマス・プレゼント

クリスマス・プレゼント (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋
売り上げランキング: 9594

舞台が暗転します。
次の瞬間、被害者が加害者に、加害者が被害者に、
悪が善に善が悪に、すり替わります。
どんでん返し、そういうストーリーだらけです。

どの方向から物を見るか、
どの立場で人を見るか、
それで世界が変わります。
可能性と同時に危うさも感じます。

スリリングで鮮やかな一品です。

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2008.10.06

私塾のすすめーここから創造が生まれる

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)
梅田 望夫
筑摩書房
売り上げランキング: 1102

読書メモを読み返します。
「幸福感」が3度出てきます。
そういう読書でした。

まずは目次から。

はじめに――志をデザインする(齋藤孝)
第1章 志向性の共同体
第2章「あこがれ」と「習熟」
第3章「ノー」と言われたくない日本人
第4章 幸福の条件
おわりに――私塾による戦い(梅田望夫)

●見出しがそそります。「心の糧」の宝庫といえます。
各章のリードを読んで、引っかかったらそこを読み込む、
こういうスタイルで読むのもいいかも。

●人生の「ロールモデル」。
それぞれの年代で変わってもいいですね。
わたしの場合、こういう文章を書きたいという人が二人います。
一人は、糸井重里さん、もう一人は椎名誠さん。
理由はまたあらためて。

●日本人のうずうず感。齋藤孝さんの言葉です。
この人のモチベーションの素のようです。
「みんなできる」が、この人の志、そう感じます。

●『「No」といえる日本』からだいぶ経ちます。
ノーと言われたくない日本人、打たれ弱すぎです。
「社会全体が傷つきやすくなっている」
梅田さんの言葉です。
何かその裏返しとして、「不寛容」があるのかなぁ。

●「ノーが当たり前で、たいていのことはうまくいかない」という諦念、
でもそれは悲観じゃないんですね。
「一個でも何かいいことあったら大喜び」ですから。

●「量より質」とも「質より量」ともいいますが、
ある時期、「量」が重要という時期がないと、
いけないんじゃないか、そういう気がします。

●負けることをおそれない。

●志向性の共同体。

●言葉を味方につける。わたしにとっての読書って、
まさにこういうことだと膝を打ちました。
「心で読む読書」、「心の糧」を探す、
それがわたしの読書です。

●ビジョン、アイデア、スタイル。
特に「自分のスタイルはこれだ」と感じられることが
「幸福感」に繋がる。

●「一つの趣味は千の嫌悪から成り立っている」

●やらないことを決める

●深く潜る。ある期間、それしかやらない。
それ以外全部やめる。「それ」って何?
「それ」は基本好きなことかと。
今の時代、「好きじゃないと持たない」
そういう時代だと。
昔より仕事が増えています。
それにはITが絡んでいます。
いつでもどこでも仕事ができる、
情報にいつでも接することができる、
そういう環境が整ってきます。

●画期力。時間を画する力。ブロックスケジューリング。

●励ましの言葉。足りない日本、満ちるアメリカ。
Webの喝采体験。

●上機嫌と不機嫌。これが日米の差なのでしょうか。
「上機嫌のアメリカ」「不機嫌の日本」。
ただ、何か今、アメリカの上機嫌が、
どんどん失われている、そんな気がしますね。

●関係ゆるめで上機嫌。それ、目指します。

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2008.10.05

世界の測量-ガウスとフンボルトの物語

世界の測量 ガウスとフンボルトの物語
ダニエル・ケールマン
三修社
売り上げランキング: 22169

数学者づいてます。
今度はガウスです。
磁力の単位に名を残しています。
そして、フンボルト。
こちらは海流とペンギンですね。

ちょっと読みにくいです。
地の文に会話文が混じります。
間接話法ですね。

●小説の執筆とは未来のために、
現在の最もはかない部分を書きとめておく作業

●ガウス、気球に乗ります。おまじないとして素数を唱えます。
数学者って、ほんま素数好きです。
そしてこの時、「あらゆる平行線は交わる」を意識します。

●フンボルトは世界を測りつくした男です。
でもその世界には女性は含まれなかったようです。
どうもホモセクシュアルかと。

●フンボルトは言います。
光とは明るさではなく、知ることだと。

●フンボルトさん、南米を旅します。
アマゾンとオリノコの合流地点を探すたびです。
途中どうやらUFOにも遭遇したようですよ。

●ガウスは、どうやらイケメンだったようです。
女性を買ったりしてますし、また女性にももてたようです。

●物理学の根底には、規則があり、規則の根底には法則があり、
その根底には数がある

●ガウスの求婚を受けたヨハンナはこう言います。
あなたは「周りにいるものたちの生や力を奪い去る」と。

●空間とは、皺がよっており、曲がっているきわめて奇妙なもの

●フンボルト「無秩序を排除するには、自分自身が正確であるしかない」

●フンボルトの兄が言います。
「弟は一つの大陸を丸ごと研究するもの」だと。

●宇宙のあり様を数行の数式で表現すること。

●最小作用の原理。あらゆる運動は、
系全体の作用ができる限り小さくなるように起こる

●老いるとは、どんな場所でも居眠りできるということ。
これって赤ん坊や幼児もそうですよね。
ってことは、人のはじめと終わりは同じようなものということか。
始まりは、終わりの始まりだし、
終わりは、始まった以上当然の帰結。

●ガウスとフンボルト。世界の両端、表裏、内と外。
そして最後に融合。

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2008.10.04

放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ
ポール ホフマン
草思社
売り上げランキング: 23200

やっぱり数学者って変人が多いんですかね。
でも愛すべき変人です、エルデシュはん。

まずは目次から。

二十五億歳の男
ザ・ブックからそのまま出てきたような
エプシの謎
サムとジョーと問題
アインシュタイン対ドストエフスキー
最悪の可能性専門博士
限界の報復
「神が整数を創りたもうた」
はずれ
生存者たちのパーティ
「わしら数学者はみんなちょっとおかしいんだ」

以下読書メモ。
●やっと、これ以上愚かにならずにすむ。ーポール・エルデシュの墓碑銘より。
 よく分かります。でも愚かなこともまた楽しです。

●「定理を解くのがわしでなければ、だれも解かないほうがましだ」
 かくも数学者は唯我独尊的思考の持ち主が多いけど、
 エルデシュは違います。共同研究の天才です。
 エルデシュ番号にそれが表れています。
 エルデシュ番号とは、彼と共同で研究して論文を発表したり、
 執筆したりすると振られる番号で、直接エルデシュ本人となら、
 1だそうです。エルデシュ番号1の人とだと、2だとか。
 そう、そこのあなたも、エルデシュ番号∞ですね。
 一つあなたの属性が増えましたね。
 何と数学的なんでしょうか(笑)。

●「ぼけの最初の兆候は、自分が発見した定理を忘れることだ。
 二番目はズボンのジッパーを上げるのを忘れること、
 三番目は下げるのを忘れることだ」
 言いえて妙です。

●数学とは終わりのない学問。無限を相手にするのだから。

●例えば円周率π。これは今小数点以下500億桁まで分かってる。
 でもまだ終わらない。というか無限に続くのでしょうね。
 ということは、πrの二乗で表される円の面積って、
 永遠に分からないってことですよね。
 ほら、目の前の紙に書いた円、
 そこにそのまま存在しているのに、
 その面積は永遠に増え続けるんですよ。
 これって何か凄くね?

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